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受給事例:筋萎縮性側索硬化症(ALS)により障害厚生年金1級(56歳・女性)

概要

  • 56歳・女性・愛媛県
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 両上肢の筋力低下、運動障害、握力消失、上肢の挙上不能、箸・ペンなどが持てない、易疲労感
  • 日常生活動作要介助、立ち上がり困難

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は、長年ご家族とともに事業を営み、日々忙しく働かれていました。
しかしある日、食事中に箸を持ちづらく感じるようになり、最初は一時的なものだと思っていたものの、徐々に右腕の動かしにくさや力の入りにくさが出てきました。
整形外科でヘルニアと診断され、通院とリハビリを続けましたが、症状は改善せず、やがて左手にも力が入らなくなっていきました。
複数の病院で検査を重ねた結果、ようやく「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」との診断が確定しました。
この病気は神経の働きが徐々に失われ、手足の筋力が低下していく進行性の難病です。
ご本人は診断を受けた当初大きなショックを受けられましたが、「今できることを精一杯続けたい」と前向きな姿勢を崩さず、治療と生活の工夫を重ねながら過ごされるなか、「この病気なら障害年金も対象になるのではないか」とご相談いただきました。

治療と生活の状況

診断確定後は専門医のもとで治療を続け、免疫グロブリン療法などの先進的な治療にも取り組まれました。
一時的に握力がわずかに回復することもありましたが、病気の進行を止めることは難しく、現在は手指を動かすことがほとんどできない状態となっています。
日常生活では、ご主人やご家族の支援を受けながら、音声認識を活用したスマート家電を導入。
照明やエアコン、テレビ、トイレの水流までも声で操作できるように工夫されています。
着替え、入浴、食事、洗顔、家事全般にはご主人の介助が不可欠であり、トイレでは全自動型ウォッシュレットを利用して清潔を保っています。
外出も制限され、職場に顔を出すことも難しくなりました。
かつてはご主人と二人三脚で事業を支えてこられましたが、現在は娘さんが仕事を手伝い、家庭と仕事の両面で支え合いながら過ごされています。
ご本人も、「病気とともに今をどう生きるかを考えたい」と、穏やかで前向きな気持ちで日々を過ごされています。

申請までの経緯

ALSは診断までに時間がかかることが多く、本件でも整形外科での治療が長引いた結果、神経疾患の発見が遅れました。
障害年金の申請にあたっては、診断に至るまでの経緯を丁寧に整理し、病名確定の経路と現在の生活状況を明確に示すことが重要でした。
当センターでは、医師との連携を図りながら、診断書には「四肢の高度な筋力低下」「日常生活全般における常時介助の必要性」が具体的に反映されるよう依頼しました。
また、生活状況等申立書には、介助が必要な動作の詳細、音声認識機器の利用状況、家族の支援体制などを記載。
日常生活の工夫やご家族の負担も含め、実際の生活の厳しさが伝わるようにまとめました。

審査では、病気の進行性と生活上の制約が総合的に評価され、障害厚生年金1級として認定されました。

結果

等級

障害厚生年金1級認定

受給額

年金額 約200万円(配偶者の加算含む)

まとめ

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、進行とともに身体の自由が失われていく非常に厳しい病気ですが、早期の診断と支援体制の構築が生活の質を守るうえで大きな鍵となります。
今回のケースでは、診断までに時間を要したものの、的確な医師の診断とご家族の協力、そして生活環境の工夫により、障害年金の受給につなげることができました。
障害年金は、こうした難病による長期的な生活支援を目的とした大切な制度です。
ALSのように進行性の疾患でも、症状や生活の実態を丁寧に整理し、適切な時期に申請することで、必要な支援を早期に受けることが可能です。
「もう少し早く相談すればよかった」という声も多く聞かれます。
もし同じように診断や生活に不安を感じている場合は、専門家へ早めにご相談ください。

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