概要
- 51歳・男性・香川県
- 慢性腎不全・人工透析
- 全身倦怠感、体重減少、口渇、多飲多尿、高血糖
- 糖尿病性網膜症、視覚障害、視力低下、歩行困難、労働能力低下
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、約20年前の会社の健康診断で糖尿病を指摘されたことをきっかけに受診を開始されました。当初は仕事中心の生活を送られており、治療に十分な時間を割くことが難しい状況でした。定期的な通院は続けていたものの、血糖値の改善は得られず、次第に腎機能の低下や視力障害といった合併症が進行。最終的には人工透析が必要な状態にまで悪化しました。
発症から長い年月が経過していたこともあり、当初の受診状況や治療経過を正確に思い出すことが難しく、ご本人は「どこから手をつけていいのかわからない」と不安を抱えておられました。このような状況から、障害年金の申請について当センターにご相談くださいました。
治療と生活の状況
糖尿病と診断を受けて以降、近医で食事療法や薬物療法(内服・インスリン)を継続されていましたが、血糖コントロールは安定せず、教育入院を行うなどしても十分な改善は見られませんでした。その後も治療を続ける中で腎機能の低下が進行し、さらに糖尿病性網膜症も発症。視力の低下により日常生活にも支障が生じるようになりました。
腎障害が進むにつれて倦怠感や下肢のむくみが強まり、長時間の立ち仕事が困難となり、勤務先での警備業務にも支障が出ていました。その後、総合病院の内科や地域指定病院へ転院し治療を継続されましたが、腎機能の悪化は止まらず、最終的に人工透析の導入を決断。R4年以降は透析専門クリニックで週3回の維持透析を受けながら生活されています。
現在は透析に合わせて生活のリズムを整えながら通院を継続されていますが、身体的な疲労や就労制限があり、これまでのような働き方を続けることは難しい状況です。
申請までの経緯
障害年金の申請において最大の課題となったのは、約20年前という古い初診日の特定でした。長期にわたり複数の医療機関を受診していたため、どの病院にいつかかったのかを正確に示す必要がありましたが、ご本人の記憶は曖昧で、診療情報の整理も容易ではありませんでした。
当センターでは、これまでの治療経過や通院履歴を一つずつ確認し、必要に応じて医療機関に照会を行いながら、初診証明の取得手続きを進めました。また、病歴・就労状況等申立書の作成にあたっては、発症当初から透析導入までの長い経過を丁寧に時系列で整理し、症状がどのように進行していったのか、仕事や生活にどのような影響があったのかを具体的に記載しました。
さらに、透析治療を受けている現在の生活状況についても詳細に反映させ、診断書との整合性を確保。専門的な視点から書類全体を整えることで、複雑な経過であっても確実に審査に伝わる内容に仕上げることができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約170万円(配偶者の加算含む)
まとめ
糖尿病に起因する慢性腎不全は、長い年月をかけて進行することが多く、初診日の証明や通院歴の整理が大きな壁となるケースが少なくありません。特に、仕事を続けながら治療を受けていた方ほど記録が分散し、自力で整理するのは困難です。
今回のケースでは、専門家が過去の経過を丁寧に紐解き、必要書類を整えることで、確実な申請と円滑な受給につなげることができました。長年の闘病を経て透析生活を送る方々にとっても、障害年金は大切な生活の支えとなります。「初診が古い」「資料が残っていない」といった不安を抱えていても、専門的なサポートを受けることで受給の道が開けることを示す事例となりました。
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