メール よくある質問

ブログ

受給事例:強皮症により障害厚生年金2級(55歳・男性)

概要

  • 55歳・男性・愛媛県
  • 強皮症・間質性肺炎
  • 体の可動域制限、手指の腫脹・変形、関節痛、歩行困難、階段昇降困難、易疲労性
  • バランス障害、転倒リスク、食事動作困難、着替え困難、就労困難

相談から申請までの経緯

相談

相談者様は数年前から皮膚の硬化や手足の腫れを自覚し、徐々に体を動かすことが難しくなっていきました。
もともと建築業を営み、自身も現場に出て作業を行っていましたが、症状の進行により現場作業は不可能となり、次第にデスクワークすら困難になっていきました。
近年では顧客との打ち合わせや折衝といった限られた業務のみを担当しており、体の自由が利かないことから仕事にも生活にも大きな支障を感じています。
将来への不安が強くなり、障害年金制度について調べたうえで当センターへ相談されました。

治療と生活の状況

当初は円形脱毛症の治療で皮膚科に通っていましたが、まもなく右手首に腫れと可動制限が出現。
その後、手足の浮腫、手指の強張り、冷感などが進行し、最終的に膠原病内科のある総合病院で精査を受けた結果、全身性強皮症および間質性肺炎と診断されました。
ステロイド治療では効果が乏しく、抗がん剤治療を併用するため入退院を繰り返していました。
症状の進行とともに、皮膚硬化と筋力低下により手足の動作が著しく制限され、現在では日常生活のあらゆる場面で支障をきたしています。
手の腫れと潰瘍のため指先を使う細かい作業は不可能で、物をつまむ、鍵を回す、ボタンを留める、箸を使うなどの動作ができません。
また、皮膚が突っ張って体を曲げられず、靴下を履く・床の物を拾う・衣服を着替えるといった動作にも介助を要します。
下肢の浮腫と関節硬直により歩行速度は著しく低下し、階段昇降には必ず手すりが必要です。
椅子から立ち上がる際や車の乗降時にも体の痛みと可動制限があり、バランスを崩すことが多く、転倒への恐怖心から外出も制限されています。
仕事においても現場での作業は完全に不可能で、デスクワークも長時間の姿勢保持が困難なため、指示出しや会話による対応しか行えない状態です。

申請までの経緯

初診から複数の医療機関を経て診断に至るまで約半年を要し、経過の整理が複雑でした。
当センターでは、本人およびご家族から詳細にヒアリングを行い、各医療機関の受診記録を時系列で整理。
初診日が皮膚科であることを明確にしたうえで、整合性の取れた医証を揃えました。
診断書作成時には、単なる皮膚疾患としてではなく、全身性強皮症による運動機能障害および呼吸機能低下の観点から評価してもらうよう医師へ依頼しました。
また、日常生活における困難(衣服の着脱、歩行、階段昇降、食事、清潔保持など)を具体的に文章化し、医師が実際の生活実態を反映できるよう補足資料を作成しました。

結果

等級

障害厚生年金2級認定

受給額

年金額 約190万円(配偶者の加算含む)

まとめ

本件は、強皮症による皮膚硬化・関節拘縮・潰瘍などの症状が進行し、全身の可動域が著しく制限された結果、身体機能障害型の2級認定に至った事例です。
手足の腫脹や硬化により、衣服の着脱・歩行・食事・清潔保持といった日常生活のあらゆる場面で介助や補助を要し、また職業上も現場作業はもちろん、デスクワークさえ困難となっています。
特筆すべきは、相談者様が会社経営者であり、一定の収入がある状況であっても、障害の程度が生活や就労に実質的な制約を及ぼしていることが客観的に認められた点です。
障害年金は「所得補償」ではなく、「障害の状態そのもの」を基準に支給の可否が判断される制度です。
したがって、収入や職業の有無にかかわらず、実際にどの程度日常生活や就労が制限されているかが最も重視されます。
この事例は、「収入があるから無理だろう」と諦めていた方にも、障害の実態を丁寧に伝えることで受給が認められる可能性があることを示しています。

制度の本質と公平性を理解していただくうえで、非常に象徴的なケースといえるでしょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

ページ上部へ戻る