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受給事例:廃用症候群(生体肝移植後後遺症)により障害厚生年金2級(女性・51歳)

概要

  • 51歳・女性・愛媛県
  • 廃用症候群
  • 生体肝移植後後遺症、帯状疱疹後神経痛、末梢神経障害、筋力低下、関節拘縮
  • 歩行困難、立ち上がり困難、可動域制限、全身筋力低下、日常生活動作困難

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は、数年前より咳の症状が強くなり受診されたことをきっかけに、偶然肝機能障害が発覚しました。当初は喘息と考えられていましたが、精密検査の結果、急性肝不全と診断され、緊急で生体肝移植を受けることとなりました。
手術自体は成功し肝機能は安定しましたが、長期の意識障害と入院生活により全身の筋力が著しく低下。さらに帯状疱疹後神経痛による強い疼痛や関節の硬直が残り、歩行や手作業をはじめとした多くの動作が困難となりました。
現在も日常生活の多くを家族の支援に頼っており、仕事復帰の見通しが立たない中で将来の生活に不安を感じ、障害年金の申請を検討されました。ただし、肝疾患とその後の廃用症候群との関係が複雑で、初診日をどの医療機関に設定すべきかが最大の課題となっていました。

治療と生活の状況

ご相談者様は、急性肝不全の発症後、県立病院から大学病院へ転院し、生体肝移植手術を受けました。術後は長期間意識不明の状態が続き、意識回復後も身体の自由はほとんど利かず、右足の激しい神経痛や全身の関節拘縮に苦しみながらリハビリを続けられました。
一命を取り留めたものの、強い痛みと筋力低下により歩行は杖を使用しても10分が限界で、立ち上がりやしゃがみ込みなどの基本動作も困難な状態です。
また、両手の握力が著しく低下しており、ペットボトルのキャップを開けたり、歯磨き粉や化粧品のチューブを押したりといった細かい動作もできません。
車の運転は脚の神経痛のため困難で、アクセルやブレーキの維持操作ができず、外出は家族の送迎に頼らざるを得ません。
睡眠中も痛みにより寝返りが打てず、2時間以上続けて眠れないため、日中の集中力や思考力にも影響が出ています。
このように、身体機能の制限と慢性的な痛みが日常生活のあらゆる面に及び、家族の支援なしでは生活を維持できない状況が続いています。

申請までの経緯

障害年金の申請にあたっては、疾患の発症経緯が複雑である場合、初診日の特定と障害状態の整理が重要になります。
今回のケースでは、喘息の診断から始まり、血液検査による肝障害の発見、急性肝不全による入院、移植手術、そして廃用症候群と、複数の病態が連続して発生していました。
ご本人も「どの病気を基準に申請すべきかわからない」「自分の症状が障害年金の対象になるのか不安」と感じておられました。
そこで当センターでは、複数の医療機関の診療記録を詳細に確認し、年金事務所とも複数回にわたり協議。最も医学的・制度的に妥当な初診日の設定と申請方針を確立しました。
また、長期入院中および退院後に続く神経痛、関節の硬直、生活動作の制限について丁寧にヒアリングを行い、診断書依頼文に反映。医師に対して、単なる肝疾患ではなく、「移植後の後遺障害および神経障害」としての生活困難を正確に記載いただけるよう依頼しました。
この結果、複雑な経過を一貫性のある形でまとめることができ、説得力のある申請資料を整えることができました。

結果

等級

障害厚生年金2級認定

受給額

年金額 約160万円(子の加算額含む)

まとめ

本事例は、複数の疾患が関わる場合でも、医学的・制度的整合性をもって申請を組み立てることで受給に至った 典型的なケースです。
特に、廃用症候群や神経障害のように「原疾患そのものよりも治療や入院の影響で生活機能が失われる」場合、本人だけでの整理は非常に困難です。
専門家の支援のもとで経過を丁寧に整理し、医師との連携を図ることで、制度上のハードルを乗り越えることができます。

「病気のせいで体が動かなくなったが、どこから申請できるのかわからない」と悩まれている方にとって、申請の道筋を示す大変参考になる事例です。

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