概要
- 22歳・女性・愛媛県
- 広汎性発達障害、大人の発達障害
- 不安感、抑うつ気分、無気力、自暴自棄、感情不安定、自閉傾向
- コミュニケーション障害、対人回避、不眠、自傷行為、過剰服薬、家族依存
- 金銭管理困難、就労困難、社会的孤立、一人行動困難
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、自閉スペクトラム障害および強迫性障害の診断を受けていましたが、障害者手帳が3級であったことから「自分の障害は軽い」「障害年金は難しいだろう」と考えておられました。
しかし、大学生活や一人暮らしを続ける中で自己管理が困難となり、日常生活でも家族の支援が欠かせない状況にありました。実家に戻ってからも生活全般を家族に頼らざるを得ず、金銭的にも不安を抱えていました。
そんな折、インターネット上の無料診断で「障害基礎年金2級の可能性がある」との結果を得て、「もしかしたら申請できるかもしれない」と思い立ち、当センターへご相談くださいました。
治療と生活の状況
ご相談者様は、学生時代から強い不安感やこだわりの強さ、対人関係の苦手さを抱えており、大学生活では授業や課題の管理がうまくできず、寮生活での人間関係にも強いストレスを感じていました。
その結果、睡眠リズムが乱れ、食事や清潔保持などの基本的な生活動作にも支障が出るようになり、大学への出席も難しくなっていきました。
一人暮らしを続けることが困難となったため実家に戻りましたが、自室で過ごす時間が長く、家族による声かけや支援がなければ食事・入浴・服薬などの管理も難しい状況が続いていました。
就労経験はなく、対人不安や緊張が強いため、外出や電話対応も困難で、社会的な活動はほとんど行えていませんでした。
申請までの経緯
当初、ご本人は「自分はそこまで重症ではない」と感じており、申請に必要な生活状況の整理も十分ではありませんでした。
電話でのやり取りが難しいとのことから、当センターではまずメールを中心に丁寧なヒアリングを行い、少しずつ生活の実態や困難さを明らかにしていきました。
その結果、服薬の自己管理が難しいこと、外出や対人関係への著しい不安、家族への依存度の高さなど、日常生活の多くの場面で援助が必要な状態であることが明らかになりました。
初診日が古く、既に通院していない医療機関であったため、ご本人に代わって当センターが医療機関へ記録の確認を行い、受診状況等証明書を取得しました。
また、主治医への診断書依頼にあたっては、生活面の困難や支援の必要性を整理した依頼文を作成し、実態が正確に反映されるよう配慮しました。
電話や窓口での手続きが難しいご本人に代わり、各種連絡や書類の取りまとめ、申請書の提出までを当センターが一貫してサポートし、安心して手続きを進めることができました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
発達障害や強迫性障害は、外見からは障害の重さが伝わりにくく、「軽いのではないか」と誤解されることが少なくありません。
しかし実際には、対人関係や自己管理、社会生活全般に大きな制限を受けているケースも多く見られます。
今回の事例では、ご本人の「できていない部分」を丁寧に整理し、診断書と申立書に正確に反映させることで、適正な等級認定につながりました。
ご本人は「手帳3級だから難しいと思っていたのに、本当に受けられるとは思わなかった」と話され、経済的な支えを得たことで安心感を取り戻されました。
また、電話や対面での対応が難しい方でも、メールやオンライン面談など柔軟な方法でサポートを行うことで、負担を最小限にして申請を進めることが可能であることを示す事例です。
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