概要
- 63歳・男性・愛媛県
- 右被殻出血(脳出血)
- 左半身麻痺、左半側空間無視、歩行困難、嚥下障害、神経因性膀胱、睡眠障害、視覚的空間把握障害、倦怠感
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、日常生活や仕事にも支障のない健康な生活を送っておられましたが、ある日突然、自宅で嘔吐と意識消失を起こし倒れられました。
その後、脳出血と診断され緊急手術を受けましたが、発見・搬送が遅れたことにより重い後遺症が残ってしまいました。
退院後も麻痺や嚥下障害、膀胱障害などの症状が続き、介助なしでは生活が成り立たない状態となったため、障害年金の申請を検討されました。
「将来の生活に少しでも安心を得たい」との思いから、当センターへ申請代行をご依頼くださいました。
治療と生活の状況
緊急手術後は集中治療を受けながらも誤嚥性肺炎を併発し、口から食事を摂ることもできない状態が続きました。
回復期のリハビリにより、装具と杖を使用して見守りのもと歩行訓練ができるようになりましたが、左半身の麻痺や空間無視は残存し、日常動作の多くに介助が必要でした。
退院後の生活では、妻とヘルパーによる支援を受けながら過ごされています。
食事は一口大のやわらかいものをスプーンで摂取し、配膳には滑り止めのトレイを使用しています。
着替え、移乗、入浴、排泄はいずれも他者の介助を要し、特に夜間は頻尿のため妻が数回起きて介助を行っています。
屋内では車いすを使用し、短時間のみ歩行器を使って移動しますが、左側の距離感がつかめず壁や家具にぶつかることも多く、常に見守りが必要です。
また、左半身の痛みや痙縮が強く、就寝中も痛みで何度も目を覚まされるなど、心身ともに大きな負担を抱えながらの生活が続いています。
申請までの経緯
発症からおよそ半年後、医師より「症状固定」との判断が下されました。
脳出血などの脳血管疾患の場合、初診日から1年6か月を待たずに「症状固定」と判断された時点で申請が可能です。今回もこの症状固定のタイミングで、早期の申請準備を進めることになりました。
その時点で、左上肢・下肢の機能全廃と認められ、身体障害者手帳1級を取得されていました。
障害年金申請にあたっては、診断書だけでは伝わりにくい生活実態を補うため、介助の必要な動作や頻度、痛み・痙縮の状況を詳細に整理して医師に共有。
診断書・申立書の整合性を確保したうえで申請を行い、重度の身体麻痺と日常生活上の全介助状態が適切に評価されました。
また、65歳以降は老齢年金との選択が必要となるため、その点についてもご相談を受けました。
障害年金は非課税所得であること、そして1級は2級の25%増額となることから、老齢年金に比べても実際の手取り額が大きく異なることを丁寧にご説明しました。
その結果、今後も障害年金を継続して受給していく形を選択されました。
結果
等級
障害厚生年金1級認定
受給額
年金額 約230万円(配偶者の加算含む)
まとめ
今回のケースでは、脳出血による左半身麻痺だけでなく、嚥下障害・排尿障害・睡眠障害など、複数の症状が複合的に現れていました。
生活全般にわたって常時介助が必要であり、心身の負担も非常に大きい状況でしたが、医師との連携と丁寧な書類作成によって、実態に沿った正確な認定を得ることができました。
また、老齢年金との選択という重要な局面においても、障害年金の非課税・加算制度を考慮したうえで、最も有利な受給方法を選ぶことができました。
脳血管疾患による障害は、見た目だけでは分かりづらい後遺症も多く、適切に伝えることが難しい分野です。
しかし、生活上の困難や介助の必要性を具体的に示すことで、正当な評価を受けることが可能になります。
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