概要
- 44歳・女性・香川県
- 反復性うつ病性障害
- 抑うつ気分、希死念慮、自傷行為、解離症状、夜間徘徊、衝動的行動
- 引きこもり、食欲低下、睡眠障害、意思疎通困難、対人恐怖、社会的孤立、家族の支援不可欠
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は20年以上前に精神科を初めて受診し、当初は解離性障害との診断を受けていました。
その後、離婚や育児、家庭内トラブルなどの影響により病状が悪化し、複数の医療機関を転々としながら治療を継続してこられました。
近年は反復性うつ病性障害の診断を受け、希死念慮や自傷行為を繰り返しながら自宅に引きこもる生活が続いています。
同居されているお母様が、今後の生活や将来的な支援を心配され、障害年金の受給について当センターへご相談くださいました。
治療と生活の状況
発症当初からうつ症状や自傷行為が見られ、薬物療法を続けてきましたが、症状の軽快と悪化を繰り返してきました。
家庭環境や対人関係の変化が症状に強く影響しており、感情のコントロールが困難な時期が続いています。
離婚後は実家に戻り、母親と子どもたちと同居していましたが、生活の中心は自室での引きこもりでした。
自傷行為の防止のため、家族が刃物類を隠す必要があるほど衝動的な行動が多く、本人はその行動を覚えていないこともありました。
昼夜逆転した生活が定着し、夜間に裸足で徘徊するなど危険な行動も見られました。
現在も自室で過ごす時間が大半を占め、食事は1日1回程度、入浴や着替えも週に1回ほどしか行えていません。
母親が食事を用意し、声をかけてようやく摂取できる程度です。
まれに母親や子どもと会話をすることもありますが、会話は短く、「はい」「いいえ」と答えるのみのことがほとんどです。
感情の起伏が大きく、注意されたり意見が合わなかったりすると激しく取り乱し、その後に自責の念からリストカットを行うこともあります。
投薬治療は続けており、現在は月1回の通院を行っていますが、体調や気分によっては通院できないこともあります。
申請までの経緯
当センターでは、ご本人の長年にわたる通院歴と複数の転院経過を整理するため、母親への聞き取りを中心に詳細な経過表を作成しました。
初診から現在までの病状変化、服薬内容、生活状況の推移を丁寧にまとめ、医師が診断書を作成しやすいよう整理しました。
ご本人は過去の記憶が曖昧で、行動に関する自覚も乏しいため、母親の証言が申立書作成の要となりました。
生活状況申立書では、外出困難、入浴・食事・清潔保持の困難、希死念慮など、具体的な生活制限を明確に記載し、日常生活能力の低下を客観的に示し主治医に提出。診断書に反映していただきました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
本件は、思春期から長年続く精神症状により社会的な自立が困難となった事例です。
自傷行為や夜間徘徊など危険行動を伴う時期を経て、現在も引きこもり状態が続いています。
母親の支援がなければ生活を維持できない状況であり、日常生活のあらゆる面に援助が必要です。
今回の申請では、本人の病識が乏しく、生活状況の把握が難しい中で、家族による詳細な聞き取りが決定的な役割を果たしました。
障害年金の制度が、長期の精神疾患を抱える方とその家族の生活を支える有効な仕組みであることを改めて示す事例となりました。
コメント