概要
- 45歳・男性・岡山県
- 反復性うつ病性障害
- 不眠、強い抑うつ気分、意欲低下、焦燥感、集中力・判断力の低下、疲労感、倦怠感、不安感
- 対人関係回避、引きこもり、清潔保持困難、金銭管理困難(浪費)、自傷行為
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は10年ほど前からうつ病の治療を続けておられました。
当初は仕事の責任感から無理を重ね、過労やストレスが蓄積し、次第に不眠や強い抑うつ状態が現れるようになりました。
一度は休職して治療に専念したものの、復職を前に職場への不安やプレッシャーが強く、再び症状が悪化して退職。その後も就職と退職を繰り返し、安定した就労が難しい状況が続いていました。
真面目で責任感が強い性格のため、働けない自分を責める気持ちが強く、「仕事をしなければ」という焦りと、「仕事を続けられない」という現実の間で心身が疲弊していました。
将来への不安から、障害年金の申請を検討され当センターへご相談くださいました。
治療と生活の状況
うつ病の診断を受けてからは、服薬と通院を続けながら生活リズムの改善に努めてこられました。
しかし、不眠や不安は長く続き、夜中に何度も目が覚めて眠れない状態が慢性化していました。
集中力や判断力が低下しており、日常の些細な決断にも時間がかかるようになり、社会生活を維持することが難しくなっていました。
また、抑うつ気分が強いときには部屋の掃除や洗濯など身の回りのことができず、家族に支えてもらいながら生活していました。
食事は自分で用意できる日もある一方で、体が重く動けずに何も食べられない日もありました。
入浴や着替えを数日間しないこともあり、清潔保持にも支援が必要な状態でした。
さらに、気分の波が大きく、調子の良い日にネット通販や家電の購入を繰り返してしまうなど、金銭管理も困難でした。
外出は通院以外ほとんどなく、家族以外との交流は絶たれていました。
希死念慮はないものの、イライラが募ると自分の髪を引きちぎるなど、自身を痛めつける行動が見られることもありました。
申請までの経緯
ご本人の希望もあり、当時の病状をもとに認定日請求(過去にさかのぼっての申請)を行う方針としました。
すでに初診から10年近く経過していましたが、幸いにも当時の医療機関にカルテが保管されており、診断書の作成にも快く応じていただけました。
当センターでは、当時の生活状況を丁寧にヒアリングし、通院経過や日常生活の困難さを文章で補足。
医師にも参考資料として提出することで、より実情に沿った診断書を作成していただくことができました。
結果、認定日時点の障害状態が適正に評価され、5年分の年金が遡及して支給されるという成果につながりました。
結果
等級
障害厚生年金3級認定
受給額 遡及額
年金額 約60万円
遡及受給 約300万円(5年遡及)
まとめ
今回のケースは、長年にわたりうつ病の治療を続けながらも、症状の波が大きく安定した就労が難しかった方の事例です。
仕事を真面目に続けようとする責任感が強い一方で、プレッシャーから再発を繰り返してしまうという、非常に多くの方が共通して抱える悩みを象徴しています。
また、数年前の状態を証明する「認定日請求」は、当時のカルテや診療情報が残っていなければ成立が難しい申請ですが、今回は幸いにも資料が保管されていたこと、そして医師が丁寧に診断書を作成してくださったことが決定的な要因でした。
結果として、5年分の遡及受給が認められ、経済的な安心を得ることができました。
このように、過去の症状が重く現在は少し落ち着いている場合でも、条件が整えばさかのぼり請求(認定日請求)が可能な場合があります。
当センターでは、当時の状況を丁寧に整理し、医師への依頼方法を含めてサポートしています。
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