概要
- 46歳・男性・愛媛県
- 双極性感情障害
- 激しい気分の変動、睡眠障害、焦燥感、意欲・集中力の低下、対人関係の回避・孤立傾向、無関心、希死念慮
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、20年ほど前に製パン会社で勤務されていた際、過労や責任の重さから体調を崩したことが発端でした。動悸や息苦しさ、強い不安感が続き、当時は「パニック障害」と診断を受けました。
仕事を続けることができず退職。
その後は外出もできず、自室にこもる生活が続き、「食事をすることも苦痛」「入浴も怖くてできない」といった状態になっていきました。それでも「このままではいけない」と思い、何度も医療機関を変えながら治療を続けてこられました。
近年は主治医の先生から「双極性障害(躁うつ病)」の可能性を指摘され、「長く治療を続けているのだから、障害年金を考えてみてもいいのでは」と勧められたことが、当センターへのご相談のきっかけでした。
治療と生活の状況
病気の経過は長く、当初の「パニック発作」から次第に気分の波が顕著になっていきました。
気持ちが高ぶる躁状態のときには、勢いでパン屋を開業したり、寝ずに新しい計画を立て続けたりと活動的になります。
しかし、その反動で訪れるうつ状態では、家から出られず、何も手につかないほど気力を失ってしまいます。
食事は1日1回、母親が作ってくれたものをどうにか口にする程度で、入浴も週に1回がやっとという生活が続いていました。
現在も体調の波が激しく、安定した就労は難しい状況です。
気分が落ち着いている時期には短期の派遣仕事に就くこともありますが、数か月で退職してしまうことが多く、生活は家族の支えに頼っています。
躁状態のときには浪費が止まらず、手元のお金をすべて使ってしまうこともあり、家族が金銭管理をサポートしています。
また、希死念慮(死にたいと思う気持ち)を抱える時期もあり、ご本人は「誰にも迷惑をかけたくないけれど、生きている意味がわからない」と語られています。
申請までの経緯
この方の申請で最も大きな課題は、初診日の証明 でした。
初めて受診した病院はすでに閉院しており、主治医も亡くなられていたため、診療記録を直接取得することができませんでした。
当センターでは、複数の医療機関を丁寧に照会し、紹介状や転院記録をたどりながら、初診日を裏付けるための証拠を少しずつ集めました。同時に、20年以上にわたる通院と生活の経過を時系列で整理し、主治医に分かりやすく伝えるための資料を作成しました。
主治医は障害年金に理解のある方で、ご本人の状態を正確に反映した診断書を丁寧に作成してくださり、無事に申請に必要な書類を整えることができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約130万円
まとめ
この事例は、初診の病院が閉院していたにもかかわらず、丁寧に経過を整理することで障害厚生年金の受給につながったケース です。
双極性感情障害は、躁とうつの波が大きく、働ける時期と全く動けない時期が極端に現れるのが特徴です。
そのため、本人も「自分が対象になるとは思わなかった」と感じている方が多くいらっしゃいます。
しかし、適切に経過をまとめ、医師と連携して申請を行えば、長年の苦労がきちんと評価される可能性は十分にあります。
「昔の病院がなくなっている」「記録が見つからない」そんな場合でも、あきらめずに一度ご相談ください。
今回のように、時間をかけて丁寧に整理すれば、受給への道が開けることがあります。
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