概要
- 28歳・女性・愛媛県
- 再生不良性貧血
- 慢性的な倦怠感・脱力感、発熱・めまい、極度の易疲労性、2週間ごとの輸血
- 食欲不振・体重減少、日常生活動作困難、長時間の立位や歩行困難、味覚障害、家族の支援が不可欠
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は小学生の頃から貧血や鼻出血を繰り返し、次第に発熱やめまいを伴うようになりました。
近医を受診した際、血液検査で異常を指摘され、専門医療機関にて精密検査を受けた結果、再生不良性貧血と診断されました。
長年定期的に受診しながらも、治療費の負担が大きくなり、加えて体力低下による生活の不自由が増したことから、障害年金の制度を知り、申請を検討して当センターへ相談されました。
治療と生活の状況
診断当初は比較的軽症で、通院も3か月ごとで済み、学校生活やアルバイトなど通常の生活を送ることができていました。
しかし、年齢とともに症状が進行し、立ち仕事や長時間勤務が難しくなっていきました。
就労中は、勤務中に鼻血や脱力、めまいを起こして倒れ、救急搬送されることもありました。
結婚後も体調の変動は続き、家事の多くを夫に任せながら生活を送っていました。
妊娠中には症状が急激に悪化し、2週に1度の頻度で輸血を受けるようになりました。
妊娠後期には体を支えられなければトイレにも行けず、日中は横になって過ごす時間がほとんどでした。
出産後も血液の数値は回復せず、輸血と薬物療法の併用が続きました。
体調が良い日でも、短時間の家事(洗濯物を干す・軽い調理)しか行えず、掃除や買物などはすべて家族の支援を必要としています。
再生不良性貧血は長期の輸血により効果が低下することがあるため、根本的な治療として幹細胞移植を受けました。
移植後は一定の回復がみられたものの、免疫抑制剤の使用による副作用で味覚障害が出現。感染症のリスクを避けるため、掃除・食器洗いなどの家事は医師から制限されています。
現在は実家の支援を受けながら生活しており、日常生活の多くを家族に依存しています。
申請までの経緯
当センターでは、初診日および長期にわたる治療経過を整理するため、本人およびご家族から丁寧にヒアリングを行い、医療機関への照会を進めました。
再生不良性貧血は治療の経過が長く、診断時期と症状の変化が複雑であるため、通院記録や検査結果の整理に時間を要しました。
特に輸血の頻度や体調の波など、日常生活の具体的な困難を丁寧に記載し、生活状況申立書を作成しました。
また、出産・育児・治療の影響が重なっている点についても、医師に詳しく説明し診断書作成を依頼しました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約120万円(子の加算額含む)
まとめ
本件は、長期にわたる慢性疾患によって徐々に体力を失い、妊娠・出産を経てさらに症状が悪化したケースです。
見た目には分かりにくくても、日常生活では食事・入浴・育児といった基本的動作すら困難な場面が多く、家族の支援なしでは生活が成り立ちませんでした。
また、長期間にわたる輸血や免疫抑制治療によって新たな制約が生じるなど、再生不良性貧血の特有の難しさが現れた事例でもあります。
適切な医師の理解と詳細な生活状況の記録により、実情に即した等級認定が得られたことは、同様の病気で苦しむ方々にとっても参考となる申請事例といえます。

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