概要
- 61歳・女性・徳島県
- リウマチ、環軸椎亜脱臼
- 頚椎の不安定、首の可動制限、常時カラー装着、姿勢維持困難、家事困難、長時間の立位・歩行困難
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は20代の頃から手や関節の違和感を覚え、リウマチの診断を受けて治療を続けてこられました。
当初は仕事を続けながら通院していましたが、年月の経過とともに痛みや疲労感が強くなり、家事や就労にも大きな支障が生じるようになりました。
特に近年は首の骨のずれ(環軸椎の不安定性)が見つかり、下を向く動作が困難になったことで、薬剤師としての業務継続が不可能となり、退職を余儀なくされました。
ただ、初診から長い年月が経っていたことから、古い医療機関にはカルテが残っておらず、ご本人も「もう証明はできないのではないか」「障害年金は難しいだろう」と感じておられました。
そんな折、知人が当センターで障害年金を受給できたことを知り、「自分ももう一度挑戦してみよう」と決意し、ご相談に至りました。
治療と生活の状況
これまで長年にわたり複数の医療機関でリウマチの治療を継続してこられました。
内服薬によって一時的に症状が落ち着くこともありましたが、再燃を繰り返し、最終的には頸椎のずれが生じるほど進行していました。
現在は注射薬による治療を行っていますが、症状の進行を完全に止めることは難しく、首の痛み・頭痛・吐き気などが日常的にあり、常に頸椎カラーを装着して生活されています。
特に下を向く動作で症状が悪化するため、調理や掃除といった家事全般を普通に行うことは困難です。
キッチンには椅子を設置し、目線の高さを調整しながら炊事をされていますが、1つの作業を終えるたびに休憩が必要なほど疲労感が強く、体調の良い日でも短時間しか動くことができません。
また、体調の波が大きく、頭痛や吐き気がひどい日は一日中布団で安静にして過ごすことも多くなっています。
申請までの経緯
リウマチの障害年金申請では「初診日の証明」が最大の壁となります。
ご相談者様も、初診から数十年が経っており、当初受診していた医療機関に問い合わせてもカルテはすでに破棄されていました。
当センターではここで諦めず、過去に通院歴のある医療機関を一つずつ丁寧に確認しました。
記録の断片から時期と受診経路を再構成し、4か所目の医療機関でようやくカルテが保存されていることを突き止め、受診状況等証明書を取得することができました。
この「初診日の特定」が申請成立の鍵となりました。
さらに、現在の主治医は障害年金制度に理解があり、当センターで作成した診断書依頼文を十分に読み込んだうえで、日常生活や就労面の困難を的確に反映した診断書を作成してくださいました。
この協力的な対応により、症状の実態を正確に伝えることができ、審査でも高く評価されました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約150万円(配偶者の加算含む)
まとめ
本件は、「古い初診だから無理」と諦めかけていた方が、粘り強い調査と専門的サポートにより受給を実現した事例です。
リウマチのように発症から年月が経つ疾患では、カルテの廃棄や医療機関の転院などで初診日の立証が困難なケースが多く見られます。
しかし、受診経路を丁寧にたどり、わずかな手掛かりをもとに医療機関へ照会を続けることで、証明を得られる場合も少なくありません。
また、主治医への的確な依頼文を添えることで、医師が気付きにくい「日常生活での困難」を診断書に反映してもらうことができ、適正な等級認定につながります。
「古い記録しかないから」「自分ではもう無理だ」と諦めず、早い段階で専門家に相談することの大切さを示す象徴的な事例といえるでしょう。
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