概要
- 60歳・男性・愛媛県
- パーキンソン病
- 動作緩慢、体のこわばり、振戦、姿勢反射障害、歩行困難、転倒、体幹の揺れ
- 滑舌不良、構音障害、タイピング不能、焦点が合わない、立位保持困難、就労不能
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、約10年前に職場の同僚から「歩き方に元気がない」「右肩が下がっている」といった指摘を受け、自身でも歩行や手足の動きに違和感を覚えたことをきっかけに受診されました。検査の結果、パーキンソン病と診断され、以降は投薬治療を続けてこられました。しかし、時間の経過とともに症状は徐々に進行し、体の震えや歩行障害、転倒、さらには着替えや食事など日常生活の動作にも大きな支障が生じるようになりました。
数年前にはご自身で障害年金の申請を試みられましたが、診断書の取り扱いや病歴の整理に難航し、途中で申請を断念されたとのことです。その後も病状は悪化し、ご家族の介助を受けながら生活を続けてこられましたが、経済的な負担も増し、改めて専門家の支援を受けたいとの思いから当センターへご相談いただきました。
治療と生活の状況
発症当初は、体の動きがぎこちない、手足がもたつくといった軽度の運動障害が中心でしたが、時間の経過とともにジスキネジアによる体の震えや筋肉のこわばりが強まりました。手の震えで文字や書類がうまく扱えず、箸もうまく使えないためスプーンを使用するようになりました。
さらに歩行障害も進行し、転倒やふらつきが頻繁に起こるようになり、外出時は妻の付き添いが欠かせない状況でした。体が思うように動かず、着替えや洗顔、入浴にも介助が必要となることが多く、家庭内でも自立した生活が難しくなっていきました。
仕事面では、当初ホテル運営会社に勤務し、宴会場での準備や接客、重量物の運搬など体を使う業務を行っていましたが、病状の進行により配置転換となり、軽作業や警備業務に従事。それでも次第に立位保持が難しくなり、業務の遂行が困難となりました。進行が止まらず、歩行や手作業に支障をきたすようになったことから、最終的には休職・退職を余儀なくされました。現在も薬物療法を継続しながら、手術(DBS:脳深部刺激療法)の実施を検討されています。
申請までの経緯
ご本人は過去に自力で障害年金の申請を試みましたが、診断書の取得や病歴の整理などが複雑で、最終的に申請を断念されました。障害年金の申請は、ご本人の努力だけで進められる場合もありますが、病状が進行している中で制度の要件に沿って書類を整えることは非常に困難です。診断書の内容が適切でなかったり、申立書と整合が取れていない場合、せっかく準備した書類も無効となるリスクがあります。
当センターでは、まず詳細なヒアリングを行い、これまでの治療経過や日常生活の様子、就労上の困難を丁寧に整理しました。その上で、医師に診断書を依頼する際に重要なポイントが正確に伝わるよう「診断書依頼文」を作成し、症状の実態を具体的に反映してもらえるようにしました。また、診断書の内容と整合性を保つように病歴・就労状況等申立書を作成し、生活面の支障や進行状況が審査側に明確に伝わるように整備しました。
これにより、ご本人の実際の状態を的確に反映した申請書類を提出することができ、審査においても高い評価を得る結果につながりました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約180万円(配偶者の加算額含む)
まとめ
パーキンソン病は進行が緩やかなため、初期の段階では「まだ仕事ができる」「もう少し様子を見よう」と判断されやすい病気です。しかし、その間にも症状は確実に進行し、気づいたときには日常生活や就労に重大な支障をきたしていることが少なくありません。今回のケースでは、ご本人が一度は自力で申請を試みたものの途中で断念し、最終的に専門家の支援によって受給に至りました。
ヒアリングを通じて生活上の困難を明確化し、医師に対して正確な情報を共有したうえで診断書を作成してもらえたことが、受給成功の大きな要因となりました。
同じように「書類の書き方がわからない」「初診日や病歴を整理できない」と悩まれている方にとっても、専門家によるサポートが確実な結果へとつながることを示す事例です。
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