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受給事例:うつ病・注意欠陥多動性障害(ADHD)により障害基礎年金2級(22歳・男性)

概要

  • 22歳・男性・香川県
  • うつ病・注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • 注意・集中の維持困難、昼夜逆転、不眠傾向、幻聴、被害的思考、自傷行為、希死念慮、自殺企図
  • イライラ・衝動的行動、対人関係のトラブル、日常生活動作の低下、整理整頓・衛生管理ができない

相談から申請までの経緯

相談

相談者様は幼少期から注意力の低さや多動傾向が見られ、思春期にADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けて治療を続けてこられました。
服薬により集中力が高まり学業にも励むことができ、高校生活では部活動や生徒会活動にも積極的に参加するなど、努力を重ねて成長されていました。
大学進学後は一人暮らしを始めましたが、服薬の自己管理が難しく、次第に服薬を忘れるようになり、やがて治療を自己中断。その後、生活リズムが崩れ、学業にも支障をきたし中退に至りました。
以後、就労や家庭生活においても困難を抱え、再度うつ症状が強く現れるようになったため、お母様が障害年金の申請を検討し、当センターにご相談されました。

治療と生活の状況

発達特性により注意力や計画性を保つことが難しく、大学進学後は服薬管理ができなくなりました。
服薬を中断した後は夜眠れず昼夜逆転の生活が続き、大学への通学が困難となり、人間関係も疎遠になっていきました。
実家に戻った後も気力が戻らず、部屋の片付けや身の回りの管理もできない状態で、母親の支援に頼る生活が続きました。
その後、結婚や育児などの環境変化もあり、一時は仕事に就くこともありましたが、精神的な不安定さから就労は長く続きませんでした。
家庭内のトラブルや離婚問題をきっかけに情緒が極度に不安定となり、「死にたい」「殺してしまう」といった発言や、壁に頭を打ち付けるなどの自傷行為も見られました。
幻聴や被害的思考も出現し、自ら4階から飛び降りようとするなど危険な行動があったため、入院治療が行われました。
退院後は専門医療機関でADHDと抑うつ症状の双方に対する治療を継続していますが、服薬管理や感情のコントロールは依然として難しく、外出や就労は困難な状況が続いています。
現在は母親のもとで生活し、日常生活の多くを支援に頼っています。

申請までの経緯

当センターでは、幼少期から現在までの治療経過を詳細に整理し、発達障害と精神疾患の双方の影響が生活機能に及ぼしている点を明確にしました。
本人は症状の経過を十分に説明できないため、母親からの聞き取りを中心に生活状況を記録。
初診医療機関の確認や病歴の整理を行い、診断書作成のための資料を整えました。

また、服薬管理ができず症状が悪化した経緯や、家庭内での衝動的行動、入院治療歴などを具体的に記載し、日常生活能力の著しい制限を裏付ける申立書を作成しました。
医師にも障害年金制度の趣旨を説明し、診断書に生活状況を的確に反映していただけるよう依頼しました。

結果

等級

障害基礎年金2級認定

受給額

年金額 約83万円

まとめ

本件は、発達障害を基礎に持つ方が、服薬管理の難しさからうつ症状を悪化させた事例です。
治療を自己中断したことで生活機能が急激に低下し、就学・就労・家庭生活のいずれも困難となりました。
ADHDの特性により、治療の継続そのものが難しくなるという構造的な課題も明らかになりました。
今回の申請では、家族による長期的な支援と丁寧な生活状況の記録が認定に大きく寄与しました。
発達障害を基盤とする精神疾患の場合、早期の支援介入と服薬管理のサポート体制がいかに重要かを示す事例といえます。

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