概要
- 51歳・男性・愛媛県
- うつ病、肺がん
- 気分の著しい落ち込み、不眠、食欲低下、焦燥感、希死念慮、自殺企図、意欲喪失
- 判断力、集中力の低下、就労困難、対人回避、引きこもり傾向、家族の支援不可欠
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は長年ご家族で飲食店を経営されていました。
責任感の強い性格で、お店の経営や改装資金のことなどを一人で抱え込み、眠れない日が続くようになっていったそうです。
やがて、コロナ禍による売上減少も重なり、「自分のせいで家族に迷惑をかけている」と自分を責める気持ちが強くなり、抑うつ状態が悪化していきました。
一時は自ら命を絶とうとする行動もあり、ご家族の迅速な対応で救命されました。
その後、入院治療と通院を続けていましたが、病状は良くなったり悪くなったりを繰り返していました。
そんな中、肺がんが見つかり、転移や余命の告知を受けたことで、再びうつ症状が大きく悪化。
「もう生きていても仕方がない」と口にするようになり、不安と絶望の中で日々を過ごしていました。
主治医から障害年金の制度について案内を受け、ご本人に代わり奥様から当センターへご相談をいただきました。
治療と生活の状況
不眠の症状が出始めた頃から薬での治療を続けてこられましたが、経営の不安が強くなるにつれ、次第に意欲が失われ、日常生活にも大きな支障が出るようになりました。
仕事には出られず、家族の声かけがなければ身の回りのこともできない状態で、一日のほとんどを横になって過ごす日も多かったといいます。
また、肺がんを罹患したことをきっかけに精神的な不安がさらに強まり、「薬を飲むと死んでしまうのでは」「点滴が怖い」と感じるなど、強い恐怖心を訴えるようになりました。
食欲もなく、体重が減り、体力の低下と心の不調が重なって、常にご家族の支えが必要な生活となっていました。
申請までの経緯
当センターでは、これまでの入院や治療の経過を整理し、ご本人とご家族がどのように病気と向き合ってこられたのかを丁寧にヒアリングしました。
主治医には、病状の変化やご家庭でのご様子を正確にお伝えし、診断書に反映していただきました。
また、ご家族の記録をもとに、「どのような日常の困りごとがあるのか」「どの程度の支援が必要なのか」を詳しくまとめ、申立書として提出しました。
身体の病気と精神の病気が複雑に影響し合っていることを整理して説明したことで、うつ病としての障害の重さを正しく評価してもらうことができました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
この事例は、身体の病気をきっかけに心の病気が悪化したケース です。
「がん」という大きな不安を抱えながら、それでも懸命に日々を過ごしてこられたご本人と、それを支えるご家族の努力が実を結びました。
うつ病は、外から見えにくい病気ですが、仕事や家事、対人関係など生活のあらゆる場面に影響します。
そして、身体の病気が重なることで、より深刻な状態になることもあります。
同じように「申請しても難しいのでは」と感じている方も、あきらめる前にぜひ一度ご相談ください。
状況を丁寧に整理し、医師やご家族と連携を取ることで、正しく評価される可能性は十分にあります。
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