概要
- 32歳・女性・愛媛県
- うつ病
- 不眠・睡眠障害、倦怠感、イライラ、焦燥感、感情不安定、希死念慮、対人恐怖、外出困難
- 意欲低下、自傷行為、摂食障害、注意散漫、清潔保持困難、金銭管理困難、育児困難、家族依存
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は数年前に離婚を経験し、その前後から強い不眠や焦燥感、感情の不安定さに悩まされていました。
当初は睡眠障害を疑い治療を受けていましたが、改善は見られず、友人の勧めで精神科を受診。
一時的に落ち着くこともありましたが、症状の波が大きく、通院や服薬を中断しては再開するという時期を繰り返してきました。
その後も寛解に至ることはなく、近年は日常生活における自立が難しいほど状態が悪化。
医師からも障害年金の申請を勧められ、家族の負担を少しでも軽減したいとの思いで当センターへ相談されました。
治療と生活の状況
発症当初は睡眠薬や安定剤での治療を受けていましたが、効果が乏しく、薬の副作用による強い眠気や意識の混濁がみられました。
通院を自己判断で中断した後も症状は改善せず、焦燥感や抑うつ感が続く中、再び通院を再開。
その後も睡眠リズムの乱れ、昼夜逆転、倦怠感が継続し、医師の指示により他院へ転医して精査を受けましたが、身体的な異常はなく、根本的な原因は精神的要因と判断されました。
現在は抗うつ薬と睡眠薬を併用していますが、気分の落ち込みや無気力が強く、家事や身の回りのことはほとんど再婚した夫の援助に頼っています。
特に父親の死をきっかけに状態が急激に悪化し、一人で外出することができなくなりました。
通院にも夫の付き添いが必要で、葬儀や法要など人前に出る場面では極度の緊張から自傷行為に及ぶこともあります。
入浴や着替えは数日に一度、掃除や洗濯は一切行わず、化粧も数年来していません。
食事は1日1食、または何も食べない日があり、代わりにスイーツを毎日数個食べるなど偏った摂食傾向が見られます。
金銭管理や買い物も自分ではできず、すべて夫が行っています。
人と会うことを極度に避け、家族以外の交流はなく、将来への不安や希死念慮を抱えながらの生活が続いています。
申請までの経緯
当センターでは、長期にわたり症状が変動しながらも寛解に至っていない点、ならびに生活全般に及ぶ著しい機能低下を重視し、詳細な生活実態を整理しました。
特に、食事・清潔保持・金銭管理・社会性の各面での援助依存を具体的にまとめ、医師が診断書に反映しやすいようヒアリング記録を文書化しました。
初診医療機関から複数回の転院を経ていたため、時系列の把握に時間を要しましたが、本人と夫から丁寧に聞き取りを重ね、正確な初診日の特定と通院経過を整理しました。
また、医師には抑うつ症状だけでなく、日常生活能力の著しい低下と社会的孤立の実情を補足資料として提示し、診断書作成を依頼しました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約130万円(子の加算額含む)
まとめ
本件は、離婚や家族の死去などの環境的ストレスを契機に抑うつ症状が慢性化し、生活機能が著しく低下した事例です。
症状は一貫して寛解に至らず、服薬を継続しても気分の不安定・倦怠感・不眠が続いています。
また、社会的接触を避け、自傷行為や希死念慮も見られることから、今後も家族の支援と継続的な治療が不可欠です。
障害年金の受給によって、経済的・心理的負担の軽減が図られ、安定した療養生活を続けるための一助となることが期待されます。
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