概要
- 30歳・女性・香川県
- うつ病、パニック障害、双極性障害
- 意欲低下、不眠・昼夜逆転、食欲不振、体重減少、不安感・焦燥感、自傷行為
- 集中力・判断力の低下、対人忌避、金銭管理困難、衝動買い、外出困難
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は10代の頃から強いストレスを感じやすく、心身の不調が続いていました。
学校生活での人間関係に悩み、食事をとっても吐いてしまうなど、体調にも影響が出ていたといいます。
当時は自分でも気持ちの整理がつかず、気づいたらリストカットをしていたこともあったそうです。
社会人になってからも体調の波が大きく、働きたいという思いはあっても、人との関わりや職場環境のストレスから体調を崩すことを繰り返していました。
いくつかの仕事を経験しましたが、どれも長くは続かず、次第に外出することも難しくなっていきました。
その後、信頼できる医師との出会いをきっかけに治療を再開。
同時に「このような状態でも年金の対象になるのか」と疑問を持たれ、当センターへご相談いただきました。
治療と生活の状況
現在もご本人は、うつ病を中心にパニック障害や軽度の自閉スペクトラムの傾向を併発しています。
症状は一進一退で、心身ともに安定した日が少なく、通院や服薬は家族のサポートがなければ続けられない状況です。
日常生活においては、入浴や着替えなど基本的なことも一人では難しく、家族が声をかけてようやく行動できる状態です。
食事も「薬を飲むために少し食べる」という感覚で、十分な量を摂れていません。
また、人との関わりが強いストレスとなり、外出は通院時を除いてほとんどありません。
人混みでは体が震えてしまい、息苦しさを感じることもあります。
金銭面でも計画的に管理することが難しく、気持ちが不安定な時には必要のないものを衝動的に購入してしまうことがありました。
ご本人いわく、「家族の声かけがないと、1日がただ過ぎていくだけ」という生活が続いているとのことです。
申請までの経緯
当センターでは、長年にわたる通院歴や治療経過を整理し、初診日の特定から丁寧に手続きを進めました。
うつ病の場合、診断名が途中で変わることも多く、医療機関の連携や記録確認が欠かせません。
ご本人は体調の波が激しく、長時間の面談や書類の記入が困難だったため、代わりにご家族と連携を取りながら、生活の実態をしっかりと文章化しました。
特に「自発的な行動ができない」「助言をしても行動に移せない」という日常生活の様子を、医師に正確に伝えるための依頼文書を作成し、診断書の内容に反映できるようサポートしました。
その結果、日常生活能力の低下や社会的な適応困難が的確に評価され、障害基礎年金の受給につながりました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
この事例は、うつ病によって長期間にわたり就労や生活に困難を抱えていた方が、適切なサポートを受けて障害年金の受給につながったケース です。
精神疾患は目に見えにくく、周囲の理解を得られにくいこともあります。
しかし、焦らず治療を続け、生活の実態を丁寧に整理することで、正当に評価される可能性があります。
「病名が変わっている」「通院を中断してしまった」などの理由で諦めてしまう方も少なくありませんが、
専門家が関わることで、これまでの経過をしっかりと整理し、受給につなげられるケースは多くあります。
心身の不調で生活に支障が出ている方は、どうか一人で悩まずにご相談ください。
制度を知ることが、次の一歩につながるかもしれません。
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