概要
- 61歳・女性・愛媛県
- うつ病
- 不眠、食欲不振、体重減少、強い疲労感と倦怠感、注意力集中力の低下、対人ストレス
- 買い物依存・浪費行動、過剰服薬、希死念慮・自殺企図、対人回避、引きこもり傾向
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、職場での人間関係に強いストレスを抱えたことをきっかけに、不眠や頭痛、めまいなどの症状が現れるようになりました。
仕事を続けなければという責任感から無理を重ねていましたが、睡眠も食事も取れない状態が続き、次第に心身ともに限界を迎えました。
気分を紛らわせるために買い物を繰り返すようになり、次第に支出が膨らんでいきました。
生活が崩れていく中で「このままではいけない」と思い立ち、心療内科を受診。診断を受けてからは服薬治療とカウンセリングを続けましたが、職場環境のストレスが大きく、体調が改善することはありませんでした。
最終的に業務中のトラブルをきっかけに体調が急変し、休職。
休職中も症状は安定せず、昼夜逆転の生活と買い物依存が続く中で、多額の借金を抱えてしまいました。
その後、自殺企図に至りましたが、家族の発見により一命をとりとめ、精神科専門病院に入院。
今後の生活を心配したご家族が障害年金相談に来られました。
治療と生活の状況
入院中は不安感が強く、家族や生活のことを心配して落ち着かない日々が続いていました。
退院後はしばらく一人暮らしをしていましたが、家庭の事情もあり、現在はご実家でお父様と同居し、生活の支援を受けながら療養されています。
服薬はお父様の管理のもとで行われており、ストレスがかかると薬を過剰に飲んでしまうこともあるため、慎重に対応されています。
金銭の管理もすべてお父様が行い、買い物時には必要な分だけを手渡す形で支援されています。
入浴は体調の良い日に2日に1回できる程度で、調子が悪いときは数日間入れないこともあります。
着替えや洗濯はお父様の協力でどうにか行えている状況です。
また、外出時には強い不安を感じるため、役所やハローワークなどへ行く際は娘さんの付き添いが欠かせません。
デイケアを利用しながら少しずつ人との関わりを取り戻しつつありますが、依然として抑うつ気分や不安は続いており、今でも希死念慮が湧くことがあるため、ご家族が常に見守っています。
申請までの経緯
ご相談時には、長期にわたる通院歴と複数の医療機関の転院があり、初診日の特定と「認定日時点の状態」を確認することが最大の課題でした。
当センターではまずご本人だけでなく、ご家族にも詳細なヒアリングを実施。
当時の生活状況や職場での様子、症状の推移を時系列で整理し、認定日時点の状態像を明確にしました。
そのうえで、当時受診していた医療機関に連絡を取り、ヒアリング内容をまとめた診断書作成依頼書を添付して正式に診断書を依頼しました。
医師側でも長期経過の把握が難しい状況でしたが、依頼書で具体的に「どの時点の状態をどのように記載してほしいか」を伝えたことで、適切な内容の診断書を作成していただくことができました。
こうした丁寧な準備により、認定日時点の診断書の取得に成功し、認定日請求を行うことが可能となりました。
結果として、現症の診断書だけでなく、認定日時点の書類も整えたことで、現症・認定日ともに障害厚生年金3級に認定されました。
結果
等級
障害厚生年金3級認定
受給額 遡及額
年金額 約60万円
遡及受給 約180万円(3年遡及)
まとめ
本件は、職場ストレスから体調を崩し、買い物依存や希死念慮にまで至った非常に重い事例でした。
治療を続けながらも、生活の立て直しには家族の支援が欠かせず、現在もご家族による服薬・金銭管理のサポートを受けながら日常生活を送られています。
障害年金の申請では、病状だけでなく「どのような支援を受けて生活しているか」「どの時期にどのような状態であったか」を正確に整理することが重要です。
特に今回のように認定日請求を行う場合は、過去の診断書を取得できるかどうかが大きな分かれ目となります。
当センターでは、医療機関への照会や記録整理も含め、遡及請求を見据えた丁寧なサポートを行っています。
「当時の資料が残っていない」「どこに相談すればいいか分からない」といった場合も、まずはご相談ください。
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