概要
- 24歳・男性・愛媛県
- うつ病
- 抑うつ気分、無気力、不眠、希死念慮・自殺未遂、食欲不振、極端な自己否定感・罪悪感、引きこもり
- 金銭管理困難、清潔保持困難、対人関係回避・社会的孤立、現実逃避行動
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、社会人として働き始めた直後から勤務形態の変化による不眠と強いストレスに悩まされていました。
当初は交代勤務による生活リズムの乱れが原因と思っていましたが、次第に気分の落ち込みや希死念慮が出現。
「生きていることがつらい」「仕事に行きたくない」という思いが強まり、休職・退職に至りました。
退職後は実家に戻って療養を続けていましたが、現実世界との関わりを避け、VRの世界に没入して過ごすようになりました。
一見、自分の居場所を見つけたようにも見えましたが、実際には孤独感や自己否定感は強まり、生活リズムも崩壊。
そのような状態の中で「今後どう生きていけばいいのか分からない」との不安を抱え、当センターへご相談いただきました。
治療と生活の状況
通院と服薬は継続していましたが、薬の効果を感じにくく、気分の波が大きい状態が続いていました。
生活の中心は自室でのVR活動であり、昼夜逆転・不規則な食生活・清潔保持の困難が見られました。
食事は1日1回あるかどうかで、カップ麺などの簡易的なもののみ。
家族が促しても応じないことが多く、入浴や洗面も数日に1回程度。
部屋は散らかったままで、本人も「何から手をつけていいか分からない」と話されていました。
また、インターネット課金のコントロールができず、VR内でのアバター装飾やアイテム購入に100万円以上を使い、経済的にも不安定な状態でした。
社会的な関わりも限られており、VR内で交流する程度で、実際の友人との関係はほとんど絶たれていました。
申請までの経緯
今回のケースでは、初診から現在まで同一の診療機関で経過が明確に追える状態であったことが大きなポイントでした。
認定日時点(初診から1年半経過時)ですでに現在の主治医が継続して診療していたため、認定日診断書を取得することができました。
これにより、認定日請求(遡及請求)が可能となり、申請から審査を経て過去4年分の障害厚生年金が一括で支給されました。
このように、初診時から同一医療機関に継続して通院している場合は、過去分をさかのぼって受給できる可能性が高まります。
結果
等級
障害厚生年金3級認定
受給額 遡及額
年金額 約60万円
遡及受給 約240万円(4年遡及)
まとめ
本件は、若年でのうつ病発症にもかかわらず、長期間にわたる療養生活のなかで遡及受給が認められたケースです。
初診から現在までの通院記録が明確で、認定日診断書の取得が可能であったこと、そして日常生活や就労における制限の大きさが丁寧に記録されていたことが、認定に繋がりました。
うつ病の場合、「仕事をしていない」「自宅で過ごしているだけ」という状況であっても、それが怠慢ではなく、病気による意欲の低下や集中力の欠如、対人恐怖などの結果である場合には、障害年金の対象となることがあります。
特に本件のように若年で発症し、長期間にわたり症状の改善が見られないケースでは、早期に専門家へ相談し、申請準備を進めることが重要です。
当センターでは、認定日診断書の取得や遡及請求を含め、複雑な事案においても丁寧にサポートを行っております。
今回のケースのように、早期の相談と適切な手続きが、将来の生活の安定につながる大きな一歩となります。
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