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受給事例:うつ病により障害厚生年金2級(42歳・男性)

概要

  • 42歳・男性・香川県
  • うつ病
  • 抑うつ気分、不眠、倦怠感、意欲低下、希死念慮、集中力・注意力の低下、思考力判断力の低下、対人恐怖・社会的回避
  • 引きこもり傾向、金銭管理困難(浪費)、衝動性・依存傾向、情緒不安定、社会的機能の著しい低下

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は15年以上前に精神的な不調を感じ初めて受診して以降、10件を超える医療機関を転々としながら治療を続けてこられました。
症状の改善が見られず、途中で3〜4年ほど治療を中断した時期もありましたが、体調は回復せず、現在ではほとんど自宅で布団から出られない生活を送っています。
外出は月2回の通院時のみで、買い物や手続きなどもすべて家族に依存しています。
医師からも「今の状態では就労は困難であり、障害年金の申請を検討してみてはどうか」と勧められ、当センターへ相談されました。

治療と生活の状況

初診時はうつ病と診断され、抗うつ剤や睡眠薬など複数の薬を試しながら治療を継続しましたが、効果は見られませんでした。
その後、双極性障害と診断され投薬内容が変更されたものの、抑うつ状態や不眠、対人恐怖は悪化し、仕事への適応が難しくなっていきました。
退職後も治療を続けていましたが、薬の副作用で重度の薬疹と肝機能障害を起こし、入院を余儀なくされました。退院後は医療への不信感から受診を中断した時期もあり、その間に症状はさらに進行しました。
再就職や通学を試みることもありましたが、長く続けることはできず、抑うつ状態が悪化すると布団から出られず、食事も取れない日が続きました。
その後、医師から「うつ病の長期化の背景に発達特性が関係している可能性がある」と指摘され、検査の結果、ADHD(注意欠如・多動症)の傾向が明らかになりました。もともと持っていた集中力の持続困難や対人関係の苦手さといった特性が、職場や人間関係のストレスを増幅させ、結果としてうつ症状を悪化・長期化させていたと考えられました。
以降はADHDの特性にも配慮した治療を並行して行いましたが、気分の波や衝動的な行動は抑えきれず、浪費や過食、嘔吐などの症状が見られるようになりました。
現在はほとんど布団の中で過ごし、身の回りのことにも家族の援助が必要です。
入浴は月に数回、歯磨きは1カ月以上していないこともあり、清潔を保つことができていません。
金銭感覚が失われ、ネットショッピングで不必要な物を次々に購入し、過食衝動のため毎月数万円を浪費しています。
通院や服薬も妻の声かけと付き添いがなければ行えず、外出は近所のコンビニに限られています。
他人との関わりを避け、家族との会話も最小限で、時には一日中一言も話さない日があります。
強い希死念慮が続いており、過去には自殺を図ったこともあり、現在も「どうすれば確実に死ねるか」を考え続けるなど、危険な思考が続いています。

申請までの経緯

ご相談時には、長年の治療にもかかわらず症状が改善せず、生活全般にわたり援助が不可欠な状態でした。
これまでに10件を超える医療機関で治療を受けており、また途中で数年にわたり治療を中断していたことから、経過の整理は非常に困難でした。
ご本人も長期にわたる経過のため記憶が曖昧な部分が多く、当センターでは奥様にも同席いただき、双方の記憶を丁寧にすり合わせながら根気よくヒアリングを続け、受診歴や生活の変化を一つひとつ時系列で整理しました。
その内容を基に、医師に現状を正確に伝えるための診断書作成依頼書を作成し、診察時に提出しました。
また、本人がどのような援助を受けながら生活しているのかを明確にするため、「日常生活状況申立書」を作成し、食事・清潔保持・金銭管理・服薬管理・対人関係など、すべての面で多くの介助を要する実情を具体的に記載しました。
こうした資料を基に、医師と連携を取りながら障害基礎年金の申請を行いました。

結果

等級

障害厚生年金2級認定

受給額

年金額 約180万円(配偶者の加算含む)

まとめ

本件は、長期間にわたり抑うつ症状と発達障害特性が重なり、治療を続けても社会的自立が困難であった事例です。
発症から十数年を経ており、医療機関の転々や薬害など複雑な経緯がありましたが、継続的な支援のもとで生活の実態を正確に整理し、医師との情報共有を行うことで、症状の深刻さが適切に評価されました。
結果として、現状の生活能力を反映した1級認定につながり、ご本人とご家族の生活の安定に大きく寄与する結果となりました。

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