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受給事例:自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動障害(ADHD)により障害厚生年金2級を受給(37歳・男性)

概要

  • 37歳・男性・愛媛県
  • 大人の発達障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動障害(ADHD)
  • 対人関係困難、集団行動困難、感情理解困難、外出困難、就労困難金銭管理困難
  • マルチタスク困難、スマホ依存、ゲーム依存、引きこもり、自立困難

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は、幼少期から人とのコミュニケーションが苦手で、集団行動への参加や対人関係に困難を抱えていました。しかし、これまで医療機関で診察を受ける機会はなく、就職後に初めて受診した際には抑うつ状態と診断され、薬を処方されたものの効果を感じられず、一度のみの受診で終わっていました。
その後も職場での人間関係や環境の変化にうまく対応できず、退職を繰り返すなど社会生活の維持が難しい状況が続いていました。30歳を過ぎてから再度通院を始めた際に発達検査を受け、ADHDおよびASDの診断を受けたことをきっかけに、これまでの困難が発達特性によるものであることを理解するようになりました。
長年、発達障害による社会生活や就労での困難を抱えつつも診断や支援を受けてこなかったため、障害年金の申請が可能かどうか悩まれ、当事務所にご相談いただきました。

治療と生活の状況

初めて受診した際には「抑うつ状態」と診断されましたが、服薬の効果を実感できず治療は一度で中断。その後も就職・退職を繰り返しながら生活していました。発達障害の特性により、対人関係やコミュニケーションに強い苦手さがあり、職場での人間関係のトラブルやストレスから気分が落ち込み、引きこもりがちになることもありました。
一人暮らしの期間には生活リズムの乱れや不眠、食生活の偏りなどが見られ、社会生活への適応は困難な状態でした。再び実家に戻ってからは家族の支援のもとで生活を続けていましたが、社会復帰に向けた意欲は低く、就労に対して強い不安を抱えていました。

申請までの経緯

発達障害による障害年金の申請では、出生から現在に至るまでの生活歴・学校歴・就労状況を整理し、発達特性がどのように生活や仕事に影響しているかを明確に示す必要があります。
当事務所では、幼少期からの生活や学校生活、就労の経過を丁寧に整理し、医療記録や家族からの聞き取りをもとに、症状の継続性と社会生活への影響を具体的に書面化しました。初診日が約10年前であり、当初の診断が「抑うつ状態」であったことから、診断の経緯や因果関係がわかるよう資料を整理し、初診日を特定しました。
また、複数の医療機関での診断内容・投薬履歴を整理し、治療の経過を一連の流れとして明確にしました。治療が途絶えていた期間についても、生活状況の記録や家族の証言をもとに、症状が持続していたことを立証しました。これらの作業により、年金機構が理解しやすい形で申請資料を整えることができました。

結果

等級

障害厚生年金2級認定

受給額

年金額 約120万円

まとめ

本件のポイントは以下の3点にあります。

  1. 成人になるまで発達障害として診断や治療を受けてこなかったこと
  2. 幼少期からの生活歴や就労状況を丁寧に整理し、症状の継続性を申立書に反映したこと
  3. 初診日が10年以上前で診断名が異なっていたが、医療記録や証言により一連の経過を立証できたこと

発達障害による障害年金の申請では、医療機関での通院歴が少なくても、生活歴や社会適応の経過を正確に整理することで受給に至るケースがあります。
本事例は、診断や治療歴が断続的であっても、長年の困難の実態を丁寧に可視化することで、適正な評価と受給につながった好事例といえます。

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