概要
- 54歳・男性・愛媛県
- 脊髄小脳変性症
- 廃用症候群、嚥下障害、自力摂食困難、筋力著明低下、体幹支持困難
- 言語機能の喪失、要介護5、褥瘡の発生
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は脊髄小脳変性症を発症し、左下肢のしびれや歩行困難が徐々に進行しました。
初期には階段や段差での転倒が増え、自宅や勤務先ではエレベーターの利用が中心となるなど、日常生活に支障が生じていました。
さらに、下肢の浮腫みやバランス障害が進行し、外出や重量物の持ち運びも困難となりました。
症状の進行とともに手先の細かい動作も難しくなり、文字を書く、タイピングをする、食事の準備をすることなどが困難に。
また、睡眠時無呼吸症候群や排尿障害も併発し、日常生活の自立が難しくなっていきました。
就労が不可能となり、経済的な不安も生じたため、障害年金の受給を希望され、正確な手続きを行うために私どもへ申請代行を依頼されました。
治療と生活の状況
発症当初は杖や手押し車を使用して歩行していましたが、病状の進行により車椅子が必要となり、現在は自宅内でも車椅子を使用しています。
手指の動作制限も強く、書字や食事、着替え、排泄、入浴などのあらゆる動作において配偶者の全面的な介助を要する状態です。
また、呼吸器や口腔機能にも障害が及び、睡眠時にはCPAPを装着しなければ眠ることができず、日中も倦怠感や強い眠気が出現しています。
日常生活はほぼ全介助で、常に配偶者または介助者の見守りが必要な状況です。
申請までの経緯
申請にあたり、相談者様およびご家族から詳細なヒアリングを行い、複数の医療機関での受診・入院・検査内容を整理しました。
生活状況の変化も時系列で明確にし、初期の下肢の痺れや転倒から、車椅子利用に至るまでの経過を丁寧にまとめました。
また、睡眠時無呼吸症候群や呼吸障害の影響、日常生活動作(ADL)の制限状況を医師に具体的に伝えることで、診断書には病状の進行度と生活制限の実態を的確に反映してもらうことができました。
残念ながら、その後も症状は進行したため、3年後に再依頼を受け額改訂請求を行い、障害厚生年金1級への改定が認められました。
結果
等級
当初障害厚生年金2級認定
3年後に額改訂により障害厚生年金1級へ改訂
受給額
年金額 約210万円(配偶者・この加算額含む)
額改訂請求により1級再認定後 約250万円
まとめ
本件では、病状の進行に伴い身体機能が徐々に低下し、発症当初の歩行困難から全身の介助が必要な状態へと至りました。
初期段階から症状の経過を正確に整理し、医師に実態を的確に伝えることで、病状に見合った診断書の作成と確実な申請につながりました。
また、受給後も症状の進行を的確に把握し、適切な時期に額改定請求を行ったことで、より実情に即した等級認定を受けることができた事例です。
当事務所では、申請が終わった後のご相談にも継続して対応しております。
症状の進行などにより額改定請求が必要になった場合も、初回申請時の経緯を把握しているため、より正確でスムーズな対応が可能です。
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