概要
- 45歳・女性・愛媛県
- 線維筋痛症
- 全身慢性疼痛、筋力低下、倦怠感、疲労感、歩行困難、睡眠障害
- 光過敏、音過敏、触覚過敏、温度刺激過敏、圧迫過敏、動悸・不安発作
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、約15年前に交通事故をきっかけとして全身の痛みを感じるようになりました。
当初は頚椎捻挫(むち打ち)と診断され治療を続けていましたが、症状は改善せず、痛みは次第に全身へと広がっていきました。
その後も複数の医療機関で検査や治療を受けましたが原因が特定されず、最終的に線維筋痛症と診断されるまでに長い年月を要しました。
診断後も薬物療法やブロック注射、リハビリ、組織療法など様々な治療を受けられましたが、症状の改善は見られませんでした。
痛みやこわばり、倦怠感が強く、洗濯物を干す・ゴミを出すといった軽作業すら困難な状態で、ご主人の支えなしでは生活が成り立たない状況が続いていました。
外出や友人との交流も減り、自宅と病院の往復以外は外に出ることも難しい状態が続いていました。
そのような中で障害年金制度の存在を知り、当事務所にご相談いただきました。
治療と生活の状況
交通事故後から現在に至るまで、整形外科、大学病院、精神科など複数の医療機関で治療を受けてこられました。
初期の段階では痛み止めやリハビリを中心に治療が行われましたが、痛みは次第に全身へと拡大。
「光の刺激や音、衣服の素材にすら痛みを感じる」といった感覚過敏も生じ、日常生活における制限は非常に大きなものとなっていきました。
家事の中でも、重いものを持つ・腕を上げる動作・掃除や洗濯などの作業は全てご主人のサポートが必要でした。
衣服の縫い目や布団の重さにも痛みを感じるため、素材を選んで生活するなど、生活環境全体を整える工夫を余儀なくされています。
また、痛みと過敏症状から外出はほとんどできず、仕事や社会参加も難しい状況でした。
現在も通院を継続しながら投薬治療を続けており、生活の多くを家族の支援に頼る状態が続いています。
申請までの経緯
線維筋痛症は診断までに時間を要し、かつ多くの医療機関を経由することが多いため、「初診日」の特定が大きな課題となります。
本件でも複数の病院を受診されており、医療機関の記録が散逸していましたが、一部の医療機関に残されていた紹介状や通院記録から初診日の証明を整えることができました。
その後、長期間にわたる治療経過や症状の変遷を丁寧に整理し、病歴就労状況等申立書に反映しました。
また、ご本人およびご家族から詳細なヒアリングを行い、家事や身の回りの動作、外出や就労への影響など、日常生活の制限を具体的に記載しました。
こうした日常生活上の困難を診断書にも反映してもらうことで、実情に沿った審査が可能となりました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約130万円(配偶者の加算含む)
まとめ
線維筋痛症は、外見からは分かりにくく、診断や証明に長い時間がかかる難治性疾患です。
そのため、障害年金の申請では「どのように生活が制限されているか」「どれほど日常動作が困難であるか」を具体的に示すことが極めて重要です。
本件では、長期間の通院歴を整理し、生活の実態を詳細に記録することで、適正な認定につなげることができました。
慢性的な痛みや疲労により生活に支障を感じておられる方も、あきらめずに専門家へ相談することで受給の可能性が開けるケースがあります。
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