概要
- 36歳・女性・愛媛県
- 統合失調症
- 幻聴、幻覚、妄想、記憶障害、認知機能低下、新規学習困難、動作困難
- 服薬・金銭管理困難、言語障害、会話困難、外出困難
- 気力喪失、自暴自棄、希死念慮、食欲低下
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は勤務先でのパワハラ・セクハラにより心身の不調を感じるようになりました。感情のコントロールが難しくなり、イライラや焦り、落ち込みが激しく、出勤が困難に。涙が止まらない、玄関で立ちすくむ、不眠や強い不安感、外出困難などの症状が見られるようになりました。母親の勧めもあり、病院受診を検討しながらも仕事を続けようとしたものの、症状は悪化。ご家族と相談のうえ、障害年金の申請を検討することになりました。
治療と生活の状況
当初は「適応障害」と診断され、通院しながら薬物療法を受けていましたが、症状は改善せず、次第に統合失調症の症状が明確になっていきました。
感情の変動が大きく、突発的に怒りや悲しみが溢れ出して夫に当たってしまうこともありました。
外出時や人との接触では、人の視線や物音に過敏に反応し、強い恐怖心から身動きが取れなくなることも。
さらに、幻聴や被害妄想が強く、外出や日常の活動が困難となりました。
服薬や食事、入浴といった基本的な生活動作にも夫の支援が欠かせず、家庭内でも常に見守りや声掛けが必要な状態でした。
申請までの経緯
認定日時点の診断名は「適応障害」でしたが、実際の症状は現在の「統合失調症」と連続しており、本質的には同じ病態と判断されました。
そのため、病名ではなく「症状の経過と実際の生活への影響」を重視した認定日請求を行いました。
当時の主治医が障害年金制度に理解がなく、診断書の内容修正を複数回依頼する必要がありました。
また、相談者様ご本人も体調が不安定で、ヒアリングを一度で完結できない状況だったため、数回に分けて丁寧に生活状況を整理。
申立書には、感情の起伏・幻聴・被害妄想・生活動作の困難といった具体的事実を明確に記載し、医師や福祉職が症状像を正確に理解できるように工夫しました。
その結果、診断書と申立書の内容が一致し、審査側に病態の一貫性を示すことができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約130万円(配偶者の加算含む)
まとめ
本件は、診断名が「適応障害」から「統合失調症」へと変化していたにもかかわらず、発症当初から同様の精神症状が継続していたことを丁寧に立証したことで認定に至った事例です。
医師が障害年金制度に詳しくない場合でも、本人や家族からの生活状況の聞き取りをもとに、具体的な困難を明確に整理・提示することが重要であることを示しています。
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