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受給事例:慢性腎不全(人工透析)により障害厚生年金2級(63歳・男性)

概要

  • 63歳・男性・愛媛県
  • 慢性腎不全・人工透析
  • 視覚障害、両脚の浮腫、易疲労性、倦怠感、勤務形態変更

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は約15年前、会社の健康診断で高血圧を指摘されたことをきっかけに受診を開始しました。以後、長年にわたり服薬治療や食事療法を続けながら仕事も継続してこられました。
当初は体調も安定しており、日常生活に大きな支障はありませんでしたが、年月の経過とともに腎機能の低下が進行。血液検査でクレアチニン値の上昇が確認され、医師からは「将来的に人工透析が必要になる可能性がある」と告げられました。
その後、徐々に疲労感や倦怠感が強まり、ついに人工透析が必要な状態となりました。透析は週3回の通院を要し、体力的にも生活への影響が大きくなったため、今後の生活の支えとして障害年金の申請を検討し、当事務所へご相談くださいました。

治療と生活の状況

初期の段階では高血圧のコントロールを目的に服薬治療を続けていましたが、次第に腎機能の低下が進行しました。定期検査では血液の異常値が続き、食事制限や生活習慣の改善にも努めましたが、改善は見られませんでした。
その後、腎臓専門医のもとで精密検査を受け、慢性腎疾患と診断。一定期間の経過観察を経たのち、腎不全が進行し人工透析を導入しました。
透析導入後は疲労感が軽減したものの、週3回の通院と長時間の透析による身体的負担が大きく、これまでと同様の勤務を継続することは困難となりました。現在は職場の配慮によりデスクワーク中心の業務に変更し、体調を優先しながら就労を続けておられます。

申請までの経緯

相談者様は当初、「障害年金の認定日は透析開始から6か月経過した日」と理解されていました。しかし、実際には腎疾患の初診日から1年6か月経過した日が認定日となるため、このまま申請してしまうと約半年分の年金を受け取れない可能性がありました。障害厚生年金2級の年間受給額は約210万円のため、半年分を逃すと100万円を超える損失になるところでした。
当事務所では、受任後すぐに初診日の確定と通院歴の整理に着手しました。初診から長期間が経過していたため、複数の医療機関を経ている通院経路を丁寧にたどり、紹介状や検査データなどの客観的証拠を基に通院履歴を明確化。これにより、初診日の特定と認定日の証明を確実に行うことができました。
さらに、透析治療が生活や就労に与えている影響について詳細なヒアリングを行い、医師と連携して診断書に反映。通勤や勤務形態の制限、透析による疲労・時間的拘束など、生活面の制約を具体的に示すことで、障害状態の実態が明確に伝わる内容としました。
このように、誤解されやすい認定日の扱いや、長期通院に伴う証明の難しさを専門的に整理することで、正確かつ損失のない申請を行うことができました。

結果

等級

障害厚生年金2級認定

受給額

年金額 約210万円(配偶者の加算含む)

まとめ

本件は、障害年金における「認定日の誤解」が生じやすい典型的な事例でした。腎疾患による人工透析の場合、「透析開始から6か月経過した日」または「初診日から1年6か月経過した日」が認定日となるため、誤った理解で申請してしまうと大きな金銭的損失につながる可能性があります。今回、専門家が関与したことで、正しい時点での申請と確実な初診日証明を行い、結果的に本来受け取るべき年金を全額確保することができました。
また、透析治療を受けながら就労を継続している方でも、日常生活や就労に制限がある場合には障害年金の対象となります。
「働いているから難しいのでは」と諦めず、病状や生活の状況を丁寧に整理し、専門家に相談することで適正な認定を受けられるケースが多くあります。
本件は、制度の理解と専門的サポートの重要性を改めて示す事例となりました。

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