概要
- 61歳・男性・香川県
- 慢性腎不全・人工透析
- 全身の浮腫、腎機能低下、ネフローゼ症候群
- 易疲労感、就労形態変更
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は10年以上前に腎疾患(ネフローゼ症候群)の診断を受け、服薬と通院を続けながらお仕事も継続されていました。当初は症状も比較的安定していましたが、年月の経過とともに腎機能が徐々に低下。腎生検やステロイド治療を行っても十分な改善は得られず、次第に慢性腎不全の状態へと進行していきました。
その後、腎機能の悪化により人工透析が必要となり、現在は週3回の透析治療を受けながら定年後の再雇用としてパート勤務を続けておられます。透析による身体的な負担が大きく、仕事や日常生活にも支障が出ていたことから、障害年金の申請を検討し当事務所にご相談くださいました。
治療と生活の状況
初診は市内の一般病院で、両脚の浮腫を自覚して受診されたことがきっかけでした。血液検査の結果、ネフローゼ症候群と診断され、服薬治療と定期通院を継続。当初は大きな体調変化は見られませんでしたが、腎機能は徐々に低下していきました。
その後、検査のために基幹病院を紹介され、腎生検とステロイド投与が行われましたが、期待したほどの効果は得られず、病状は少しずつ進行しました。担当医の異動により転院した後も治療を続けていましたが、腎機能の悪化は止まらず、医師から「いずれ人工透析が必要になる」と説明を受けていました。
R3年には腎不全が進行し、シャント手術を経て人工透析を導入。以降は週3回の透析を続けています。現在も透析治療を受けながら就業を続けていますが、透析日や翌日の倦怠感により勤務時間を短縮し、6時間のパート勤務として体調に配慮しながら働かれています。
日常生活においても、透析による疲労感や通院拘束時間の長さから外出の機会が減り、体力の低下や生活リズムの維持に苦労されている状況でした。
申請までの経緯
受任後は、まず初診日の証明から着手しました。初診から10年以上が経過していたため、診療録が残っていない可能性もありましたが、幸いにも通院先間の紹介状や検査記録が残っており、それらをつなげて整理することで初診日を立証することができました。
また、人工透析導入後の生活の実態を的確に反映させるため、通院状況や生活動作の困難さを詳細にヒアリングし、診断書の記載内容との整合性を保ちながら書類を作成しました。障害年金の審査では、「透析をしている」という事実だけでなく、どのように生活や就労に影響しているかが重要となるため、この点を特に丁寧に仕上げました。
ご本人からは、「制度が複雑で自分で手続きをするのは難しいと思っていた」との声もありました。障害年金の申請は医療的・法的な知識を要する手続きであり、自己判断で進めると申請が通らないリスクもあります。専門家が間に入ることで、医療機関との連携や必要書類の整理がスムーズに進み、安心して手続きを進めることができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約230万円
まとめ
本件は、長年のネフローゼ治療の末に腎不全が進行し、人工透析に移行したケースです。初診から年月が経過していても、通院記録や紹介状を丁寧に整理することで初診日を立証し、適正な認定を得ることができました。
また、透析治療を受けながら仕事を続けている方でも、「働いているから対象外」とは限りません。審査では就労の有無ではなく、身体的制約や生活上の困難の程度が重視されます。
ご相談者様は60歳を超えておられたため、「65歳以降は老齢年金と障害年金のどちらを選ぶべきか」といった併給調整のご相談にも対応し、制度の仕組みや受給額の違いを丁寧にご説明しました。
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