概要
- 57歳・男性・愛媛県
- 慢性腎不全、人工透析
- 糖尿病、高血糖、易疲労感、倦怠感、糖尿病性網膜症、視力低下
- 動作困難、体力低下、免許返納、就労困難、家族依存生活
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は勤務先の健康診断で糖尿病を指摘されたのが最初のきっかけでした。
当初は自覚症状がほとんどなく、投薬治療を続けながら生活を送っていましたが、加齢とともに腎機能が徐々に低下していきました。
やがて日常生活にも疲労感や倦怠感が強く現れるようになり、ついには人工透析が必要な状態となりました。
透析は週3回、1回あたり半日を要するため、生活や就労への影響が大きく、今後の生活設計に強い不安を感じたことから、障害年金の受給を検討され、当事務所へご相談くださいました。
治療と生活の状況
糖尿病と診断されて以降、長年にわたり服薬治療と通院を続けてこられましたが、腎機能の悪化が進行。
日常生活の中でも倦怠感や易疲労感が強く、家事や移動の際にもこまめに休まなければ動作が続けられない状態でした。
また、糖尿病性網膜症による視覚障害も進み、視野欠損や視界の歪みが生じたことで大型免許を返納するなど、生活や就労に大きな制限が出ていました。
その後、尿毒症の発症をきっかけに人工透析を開始。現在は週3回、1回あたり約4時間の透析を受けており、治療後は血圧低下や強い倦怠感のため帰宅してもしばらく動けないことも多く、生活の中心が透析治療となっています。
申請までの経緯
申請にあたって大きな課題となったのは、初診日が25年以上も前で、当時の病院がすでに廃業していたことでした。
障害年金の申請では初診日の証明が極めて重要であり、この部分をどのように立証するかが最大の焦点でした。
当事務所では、当時の勤務先の健康診断記録や、以降継続的に通院した医療機関の診療情報を丁寧に収集。
糖尿病の指摘から腎不全、そして人工透析に至るまでの経過を一つの流れとして時系列で整理しました。
また、複数の医療機関にまたがる通院歴を関連づけ、病院間の診療記録の整合性を確保することで、初診日を明確に位置づける資料を整備しました。
さらに、糖尿病による眼の合併症や腎機能障害に関する診断書も併せて取得し、日常生活や就労への影響を具体的に示すことで、障害の程度が適正に評価されるよう入念に準備を行いました。
こうした整理によって、初診日や治療経過が明確となり、審査機関に十分な根拠を示す申請書類を完成させることができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約150万円
まとめ
本件のポイントは以下の3点にあります。
- 初診日が非常に古く、病院がすでに廃業していた点
- 複数の医療機関にまたがる長期的な通院歴を一つの流れとして整理した点
- 人工透析の実施により障害認定基準に明確に該当した点
「初診日の病院がなくなっているから申請できない」と諦めてしまう方も少なくありませんが、
過去の健康診断記録や通院履歴を丁寧に整理することで、申請の道が開けるケースも多くあります。
本事例は、的確な情報整理と十分な準備によって、長期経過のある糖尿病・腎不全のケースでも
障害年金の受給につなげられることを示す好例です。
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