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受給事例:広汎性発達障害により障害基礎年金2級・3年遡及220万円(25歳・女性)

概要

  • 25歳・女性・愛媛県
  • 大人の発達障害、広汎性発達障害
  • 落ち込み、不安感、恐怖感、罪悪感、希死念慮、自傷行為
  • 睡眠障害、食欲不振、偏食、食事拒否、絶食、家事困難
  • コミュニケーション困難、指示理解困難、自発的会話苦手、マルチタスク困難

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は、幼少期から人との距離感が取りにくく、感情表現や自己管理が苦手な傾向がありました。
中学・高校時代には気分の落ち込みが強く、些細なことで深く傷つき、自傷行為に至ることもありました。誰にも相談できず、一人で悩みを抱え込む時期が続きました。
大学進学後は、課題の提出や時間の管理がうまくいかず、焦りや不安を感じるようになり、心療内科を受診しました。当初は社会不安障害や躁うつ病の診断を受け、カウンセリングと投薬治療を行いましたが、症状の改善は見られませんでした。大学院に進学しても生活や外出に制限があり、日常生活に大きな支障が残っていました。
その後、障害者雇用枠で就労を開始しましたが、体調や気分の波が大きく、朝起きられない日や欠勤が増加。職場でも業務を最後まで遂行できないことが多くなり、上司の指示が理解できない、複数の作業を並行して行えないなどの困難が続きました。
また、家庭生活では食事の偏りや掃除・入浴の不十分さなど、日常生活全般において自己管理が難しい状況が続き、将来の生活や就労継続への不安から障害年金の申請を検討し、当事務所にご相談いただきました。

治療と生活の状況

初診時にはうつ病傾向が強く、希死念慮や自傷行為もみられました。通院当初は心療内科でカウンセリングを中心に治療を行っていましたが、十分な改善が得られず、大学院進学後には別の医療機関へ転院し、躁うつ病の診断を受けて投薬治療を開始しました。
夜眠れない日が多く、抑うつ気分が続く中で、一人暮らしの生活を送ることが困難になり、食事をとれない、部屋を片付けられない、外出できないといった状態が続いていました。家族と暮らす期間もありましたが、生活のリズムを立て直すことは難しく、入浴や着替えなどの基本的な動作も3〜4日に一度しかできないことが多かったといいます。
その後、発達障害(ADHD・ASD)の可能性が指摘され、診断を受けたのは就労後でした。勤務先では事務作業を担当していましたが、メールの添付漏れ、期限直前まで作業に取り掛かれない、曖昧な指示が理解できない、複数の仕事を同時に進められないなどの特性が見られ、体調不良による欠勤も月数回生じていました。
私生活では衝動買いや浪費が見られる一方で、掃除や料理などの家事はほとんどできず、日々の生活は最低限の自己管理にとどまっていました。

申請までの経緯

初診から数年が経過していたものの、幸いにも障害認定日時点では現在の医療機関に通院していたため、認定日請求として申請を行うことが可能でした。
当事務所では、医療記録と相談者様からの詳細な聞き取りをもとに、うつ状態や発達障害特性が生活全般にどのように影響しているかを整理。特に、以下の点に重点を置いて立証を行いました。

  • 自傷行為や希死念慮が長期間にわたり継続していたこと
    外出や社会参加に対して強い不安や抵抗があること
  • 食事・衛生・家事など、日常生活の自己管理が困難であること
  • 職場での指示理解やマルチタスク処理が難しく、欠勤が多いこと

これらを診断書の内容と整合させ、障害の持続性・生活への影響を明確に示すことで、審査機関が実態を把握しやすいように資料を整備しました。

結果

等級

障害基礎年金2級認定

受給額 遡及額

年金額 約83万円

遡及受給 約220万円(過去3年分)

まとめ

本件は、発達障害の診断が成人後に確定したケースでしたが、初診日から年月が経過していても、認定日請求を活用することで適正な支給を受けることができた事例です。
また、うつ病や適応障害などの二次的な症状を併発している場合でも、生活や就労への影響を医療記録とあわせて丁寧に整理することで、障害の実態を明確に示すことが可能です。
就労しているからといって障害年金の対象外となるわけではありません。審査では「働けるかどうか」ではなく、「どのような支援や制約のもとで働いているか」「日常生活にどの程度の制限があるか」が重視されます。
本件のように、働きながらも日常生活に大きな困難を抱えている方でも、適切に立証を行うことで受給につながる可能性があります。

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