概要
- 37歳・男性・香川県
- 反復性うつ病
- 抑うつ気分、不安感、緊張感、恐怖感、思考の悲観か、意欲低下
- 外出困難、運転困難、家事不能、通院継続困難、社会的孤立、引きこもり
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は大学院生の頃から体調に異変を感じていました。研究室で責任ある立場に置かれ、大きなプレッシャーを抱える中で、夜間の運転時にまぶしさを感じるようになり、眠れない・朝起きられないといった症状が出現しました。
次第に友人との約束にも遅れがちになり、大学の保健室を通じて精神科を受診。適応障害および抑うつ状態と診断を受け投薬治療を開始しましたが、薬への抵抗感が強く十分な治療が行えず、症状は悪化していきました。
その後、パニック発作や寝たきりの状態が続き、家族の支援で別の精神科に転院して治療を継続しましたが、症状の軽快と悪化を繰り返す状態が続き、大学院は休学・退学に至りました。
その後も治療を続けながら少しずつ生活は安定し、保険代理店業を始めるなど社会的活動も再開しましたが、新型コロナウイルスの影響で外出機会が減少。行動制限や強い不安感、心気症状の出現により、仕事もほとんどできなくなり、収入も減少していきました。
ご本人とご家族だけでは複雑な初診歴や症状経過を整理して申請に反映することが難しいと感じられ、当事務所にご相談いただきました。
治療と生活の状況
最初の受診では適応障害と抑うつ状態と診断され、薬物療法を開始しましたが、副作用への不安から服薬を継続できず、症状が悪化。呼吸困難・めまい・手足の震えなどのパニック発作が頻発し、食欲も低下して寝たきりの生活が続きました。
その後、別の医療機関に転院し、パニック障害との診断のもと、月1回の通院と薬の調整を続けながら治療を継続しました。体調が安定する時期もありましたが、外出や人との関わりに強い不安が伴うため、行動範囲は自宅周辺に限られていました。
母親の送迎がなければ通院も難しく、家事や身の回りのことも母親に任せきりの生活が続いていました。食欲不振による体重減少も見られ、1年間で14kgの体重減が確認されています。
転院後は慎重な薬物調整のもとで少しずつ安定し、社会復帰を目指して保険代理店業を開始。しかし、コロナ禍以降は心気症状が強まり、病気への過剰な不安や抑うつ状態が再燃。顧客と会うことができず、仕事は名義上継続しているものの実質的には活動できない状態となりました。日常生活でも外出が困難で、家族の支援が不可欠な状況が続いています。
申請までの経緯
当事務所では、初診日が古く、複数の医療機関を経ていることから、通院経歴を正確に整理することを最初の課題としました。医療機関への照会を行い、初診日の確認をサポートするとともに、ご本人およびご家族への詳細なヒアリングを重ね、日常生活や就労上の困難を明確に整理しました。
その内容を踏まえて、医師に生活実態を正確に伝える補足資料を作成し、診断書に反映していただくための調整を行いました。あわせて、年金事務所とのやり取りや提出書類の内容確認など、申請手続き全般を代行し、複雑な経歴や症状の波がある中でもスムーズに申請が進むよう支援しました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
本件は、古い初診日や通院の空白期間、投薬への不安による治療中断など、申請上の課題が多いケースでした。
しかし、詳細なヒアリングと医師との丁寧な連携により、症状の経過や生活上の支障を的確に診断書へ反映することができました。
うつ病やパニック障害などは症状の波が大きく、通院が継続できない時期があっても、生活実態を正確に伝えることで受給につながる場合があります。
今回のように、専門家の支援を通じて複雑な経歴を整理し、適切な資料を整えることで、安心して申請を進められた事例といえます。
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