概要
- 54歳・女性・愛媛県
- 双極性障害
- 重度抑鬱状態、自殺企図、日常生活能力著名低下、感情不安定、対人恐怖、認知機能低下
- 社会的孤立、経済的破綻、薬物依存、危険行動、支援体制依存、社会的機能喪失
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は15年以上前に双極性障害と診断され、それ以来、長期にわたり通院と服薬を続けてこられました。
症状は寛解と悪化を繰り返し、体調の良い時期には就業を試みることもありましたが、症状の波が大きく、安定した就労を維持することは困難でした。
ご家族の支援のもと生活を続けておられましたが、娘さんが転居して一人暮らしとなった後は、生活上の困難がさらに増し、買い物や食事、通院など日常の多くを近隣に住む妹さんのサポートに頼らざるを得ない状況が続いていました。
そのような中、症状の悪化と生活の限界を感じたことから、妹さんの勧めで障害年金の申請を検討され、当事務所へご相談くださいました。
治療と生活の状況
ご相談者様は、長期にわたる双極性障害のため、感情の起伏や思考の停滞、無気力、抑うつ感といった症状が続いていました。気分が高揚して活動的になる時期もありましたが、その後には強い抑うつ状態が訪れ、日常生活全般に著しい制限が生じていました。
家事や炊事などの基本的な生活動作も一人では十分に行うことができず、食事の準備や買い物、服薬の管理、通院の付き添いなど、妹さんによる定期的な支援が不可欠な状態でした。
一見すると一人暮らしのように見える状況でも、実際には身近な家族の継続的な介助がなければ生活が成り立たない状態が続いていたといえます。
また、症状の波が大きく、調子が良い時期と悪い時期の差が激しいため、定期的な就労や社会活動への参加は困難でした。通院や服薬は継続していたものの、社会的なつながりは乏しく、孤立感も強い生活が続いていました。
申請までの経緯
当事務所では、まず初診日の確認と、これまでの通院経過の整理から着手しました。
初診から15年以上が経過していたため、診療記録の確認には時間を要しましたが、過去の受診先の記録と現医療機関の情報を丁寧に突き合わせ、証明に必要な資料を揃えることができました。
さらに、障害年金の審査では「一人暮らしの場合、2級以上の認定が難しい」とされることが多いため、生活の実態をできる限り詳細に整理しました。
相談者様の生活が実際には自立したものではなく、妹さんの定期的な支援によって成り立っていることを具体的に示すため、支援の内容・頻度を明確にし、医師にもその実情を共有しました。
当事務所では、医師への情報提供文書の作成、診断書の記載内容確認、申立書の構成まで一貫してサポートを行い、相談者様の負担を最小限に抑えながら、申請に必要な情報が過不足なく整った形で提出することができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約120万円
まとめ
本件は、双極性障害により長期間にわたり感情の波と生活困難が続いていた事例です。
特に、一人暮らしのように見えても実際には家族の定期的な支援がなければ生活が成立しない場合、その実態を丁寧に示すことで、障害厚生年金2級の認定につながることがあります。
過去の受診記録の整理や生活状況の把握、医師との情報共有を適切に行うことで、実際の生活制限が正確に伝わり、正当な等級認定を受けることが可能となります。
本件もその好例であり、専門的な支援によって相談者様の負担を最小限に抑えながら、確実な結果を得ることができた事例です。
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