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受給事例:双極性障害により障害厚生年金2級を受給(43歳・男性)

概要

  • 43歳・男性・香川県
  • 双極性障害
  • 不安・恐怖・焦燥感、情緒不安定、希死念慮、意欲低下、気分の波
  • 対人恐怖、緊張・ストレス過多、注意集中困難、不眠、食欲不振、昼夜逆転

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は約10年前、実家の火災でお母様を亡くされるという大きな悲しみに見舞われました。当時は仕事も非常に多忙で、連日の残業や休日出勤が続き、心身ともに限界に近い状態でした。
そのような中で気分の落ち込みや不眠、食欲不振といった症状が現れ、医療機関を受診した結果、うつ病と診断されました。
以後は休職と治療を経て再就職を試みたものの、職場環境の変化や過重な業務負担が再発の引き金となり、症状の改善と悪化を繰り返す状態が長く続いていました。
長年にわたる治療生活の中で経済的不安も大きくなり、「少しでも遡って受給できないか」という強い思いを抱き、当事務所にご相談くださいました。

治療と生活の状況

初診時には強い抑うつ状態が続き、体重は短期間で15kg以上減少していました。
不眠や食欲不振、集中力の低下、倦怠感が顕著であり、日常生活を送ることさえ困難な状態が続いていました。投薬治療と休養により一時的に症状が落ち着くこともありましたが、仕事の再開により再び悪化するという経過をたどりました。
その後も再就職や転職を重ねながら治療を継続していましたが、業務内容や人間関係のストレスにより、うつ症状の再燃を繰り返しました。
現在は双極性障害の可能性も指摘され、月1回の通院で投薬治療を続けています。躁の時期には多少の活動はできるものの、うつ状態のときは起床すら難しく、食事や入浴などの基本的な生活動作も妻の支援がなければ行えない状態が続いています。

申請までの経緯

ご本人は「初診時からの通院記録が残っているため、認定日まで遡って年金を受けたい」との希望を持っておられました。
障害年金の認定日請求では、初診日から1年6か月を経過した時点での状態を示す診断書を取得する必要があります。幸いにも当時の医療機関が診断書の作成に協力してくれたため、認定日請求を行うことができました。
しかし、障害年金の審査は「認定日時点の症状」と「現在の症状」の2つを基準として行われます。
途中にどれほど重い症状があったとしても、その時点が審査対象となるわけではありません。結果として、現症では障害厚生年金2級が認定されたものの、認定日時点では基準に該当せず、遡及支給は認められませんでした。
それでも、もし申請自体が遅れていれば現症での受給も難しかった可能性があり、早期に行動したことが結果的に受給へとつながりました。

結果

等級

障害厚生年金2級認定

受給額

年金額 約200万円(配偶者・子の加算額含む)

まとめ

うつ病や双極性障害などの精神疾患では、症状の波が大きく、経過の中に「非常に悪い時期」があっても、その時点が審査対象となるわけではありません。
障害年金では「認定日時点」と「現在時点」の2つの状態が審査の基準となるため、認定日診断書の確保が極めて重要です。

今回のご相談者様も、制度の誤解や申請の遅れがあれば、現症での受給も難しかった可能性があります。
障害年金の制度は複雑で、特に精神疾患の場合は適切な時期に申請することが結果を大きく左右します。
今後も、こうした誤解によって受給の機会を逃す方が一人でも減るよう、制度の正しい理解と申請支援を広めていきたいと考えています。

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