概要
- ・55歳・男性・愛媛県
- 双極性感情障害
- 抑うつ気分、気分の高揚、感情の起伏が激しい、感情コントロール困難、多弁・衝動的言動
- 被害妄想、判断力低下、思考停止・思考混乱、不安感、希死念慮
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は20年以上前に双極性感情障害(躁うつ病)を発症しました。
当初は抑うつ状態が中心で通院と投薬を続けていましたが、数年後に治療を自己判断で中断。その後も、感情の波が激しく、うつ状態や突発的な激高が繰り返されるなど、生活への影響は大きく、家族関係にも悪影響が及んでいました。
特に仕事面では欠勤の反復や集中力の低下、家庭では暴言・引きこもりなどが見られ、本人も「どうしていいかわからない」と混乱する状態が続いていました。
治療や服薬に対する不信感を抱き治療を中断していたのですが、近年症状が一層悪化し、家事や外出もままならない状況に陥ったため、奥様が今後の生活の安定を目的に障害年金の相談に来られました。
治療と生活の状況
通院中断後も症状は持続しており、改善は見られませんでした。
躁状態では感情の爆発や物の破壊などの行動があり、うつ状態では引きこもりや不眠・無気力・自責感が強く、日常生活全般に支障がありました。
妻との会話もほとんどなく、身の回りのことも十分に行えず、生活リズムは昼夜逆転していました。
近年は、症状の増悪により仕事を継続できなくなり、経済的にも家庭的にも不安定な状況となっていました。
申請までの経緯
精神障害の障害年金においては、5年以上受診のない期間がある場合「社会的治癒」と判断され、過去の初診日が無効になるリスクがあります。
相談者様の場合も、長期間の通院中断があったため、過去の受診歴を初診日として認めてもらえるかが大きな課題でした。
そこで、当事務所では次のような点に重点を置いて準備を行いました。
・通院中断期間中も症状が継続していたことを、生活状況・感情の波・行動記録などから詳細に整理
・家族(特に奥様)からのヒアリング内容を文章化し、医師に提出して実際の生活状況を共有
・医師に対して、症状の持続と初診日との関連性を正確に反映した診断書作成を依頼
これらの取り組みにより、過去の受診記録を初診日として正式に認定してもらうことができ、申請を遅らせることなく進めることができました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約200万円(配偶者・子の加算額含む)
まとめ
本件は、通院中断期間が長期に及ぶケースでありながら、症状の継続性の丁寧な立証や家族からの生活状況証言の整理、医師との連携による診断書作成支援によって、適切に初診日が認定された事例です。
通院歴が途切れていても、症状が続いていた証拠を積み重ねることで受給につなげられることを示したケースといえます。
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