概要
- 57歳・女性・愛媛県
- 高次脳機能障害(くも膜下出血後)
- 認知機能低下、記憶障害、判断力低下、指示理解困難、危険認識欠如
- 夜間徘徊、衝動的行動、自発性低下、意欲低下、見当識障害
相談から申請までの経緯
相談
相談者様は一人暮らしの自宅で倒れているところを発見され、救急搬送の結果、くも膜下出血と診断されました。
緊急処置により一命を取りとめたものの、発見が遅れた影響もあり重度の後遺症が残りました。
退院後は認知機能の低下や筋力の衰えが顕著で、家族の支援なしでは生活が成り立たない状況にあります。
自宅内でも手すりを使ってようやく移動できる状態で、段差の昇降は一人では困難。
また、夜間や早朝の徘徊や突発的な外出が見られ、常に家族の見守りが必要です。
体力は著しく低下し、医師からも「80歳代の高齢者程度」と評されるほどでした。
今後の生活や安全面への不安が大きく、ご兄弟から障害年金の申請についてご相談がありました。
治療と生活の状況
発症後は県立病院やリハビリ専門病院を経て、現在も老健施設と自宅を行き来する生活を続けています。
日常生活では、食事・入浴・着替えなどの動作に家族や介助者の支援が不可欠であり、自宅内の移動にも手すりや介助を要するなど、ADL(日常生活動作)全般に制限があります。
認知機能面では、注意力・判断力の低下が見られ、自発的な行動が難しく、夜間には方向感覚を失って徘徊することもあります。
外出や階段の昇降には常に介助が必要であり、安全確保のため24時間体制での見守りが求められています。
申請までの経緯
障害年金申請にあたっては、主治医が当初診断書の作成に消極的でした。
そこで、当事務所にて発症から現在までの経緯を整理し、日常生活上の具体的困難をまとめた文書を添付。
あわせて、障害年金の診断書作成における留意点を伝えることで、医師に正確な情報を提供しました。
整理した主な生活上の状況は以下の通りです。
・認知機能低下により自発的な会話・判断が困難
・食事・入浴・着替えなどに介助が必要
・自宅内でも手すりや補助がないと移動困難
・一人での段差昇降が不可
・夜間・早朝の徘徊や外出リスクあり
・車いす・トレーニングパンツを常時使用
これらをもとに医師・社会福祉士とも連携し、後遺症の実態を的確に反映した診断書と申立書を整備しました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額 遡及額
年金額 約83万円
遡及受給 約150万円(約2年分)
まとめ
脳血管疾患の後遺症では、麻痺などの身体的障害だけでなく、高次脳機能障害による認知・行動面の問題が大きく影響します。
本件のように、医師の協力が得にくい場合でも、日常生活での具体的な支援内容を丁寧に整理し、「どのように生活が制限されているか」を明確に伝えることが適正な認定につながります。
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