概要
- 63歳・男性・愛媛県
- うつ病
- 抑うつ気分、無気力、感情の平板か、不眠、思考・行動の停滞、孤立傾向
- 引きこもり、対人交流現症、社会的活動の喪失、通院中断、家族援助依存
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は約20年前にうつ病を発症されました。当初は治療を受けていましたが、その後家族との関係が疎遠となり、長期間にわたり受診を中断されていました。
次第に気力が失われ、日中もほとんどベッドで過ごすようになり、掃除や着替えなど身の回りのことも十分に行えない状態が続いていました。食事も体調に応じてパンや果物など簡単なものを口にする程度で、生活全体が停滞していました。
通院手段も限られていたため病状が軽快することはなく、現在は高齢のお父様と二人で暮らしておられます。経済的にも先行きが見えない中で、「自分の状態では仕事をすることも難しい」と感じられ、障害年金の申請を検討され、当事務所へご相談くださいました。
治療と生活の状況
発症当初はクリニックでうつ病の診断を受け、服薬治療を行っていましたが、家庭環境の変化を機に通院が中断されました。その後は症状の改善が見られず、再び医療機関を受診するまでに長い期間が空くこととなりました。
現在も、うつ状態による意欲の低下が続いており、一日の大半を寝て過ごしています。身の回りのことを自分で行うことが難しく、掃除や洗濯、買い物などの家事全般は父親が担っています。
また、外出する機会もほとんどなく、近所のスーパーに行くことも困難な状態です。食事は体調に合わせて簡単なものを少量摂る程度で、入浴や着替えも数日に一度しかできないなど、生活全般にわたって支援が必要な状況が続いています。
申請までの経緯
本件では、初診日が約20年前と古く、カルテの保存期間を超えていたため、初診日の証明が大きな課題となりました。
当事務所では、医療機関に直接照会を行い、診療記録や紹介状など可能な限りの資料を確認しながら初診日の特定をサポートしました。
また、ご本人とお父様への丁寧なヒアリングを重ね、長年にわたる生活の実態や援助の必要性を整理しました。その内容をもとに、医師へ生活状況を正確に伝える補足資料を作成し、診断書に反映していただくよう調整を行いました。
さらに、年金事務所とのやり取りや書類確認など、申請全体の流れを一貫してサポートすることで、ご本人とご家族が安心して手続きを進められる体制を整えました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
本件は、初診日が古く受診歴に空白期間がある中での申請でしたが、医療機関との調整と生活状況の丁寧な整理により、診断書に必要な情報を的確に反映することができました。
うつ病などの長期化した精神疾患では、通院が途絶えていても、生活状況や家族からの援助の実態を正確に伝えることで受給につながるケースがあります。
今回の事例は、家族の支援と専門家の協力により、長年の苦しみを形として支える結果となった好例といえます。
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