概要
- 45歳・女性・愛媛県
- うつ病、自閉スペクトラム症
- 抑うつ気分、意欲低下、集中力・注意力低下、記憶障害、判断力低下
- 家事・炊事が困難、片付けができない、スケジュール管理ができない、指示が理解できない、マルチタスク困難
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、うつ病と自閉スペクトラム症を抱えながら生活しておられました。
5年ほど前に一度ご自身で障害年金の申請を試みましたが、診断書や病歴・就労状況等申立書に症状や生活状況が十分に反映されていなかったこと、また当時はパート勤務をしていたことなどから、不支給という結果となってしまいました。
その後も体調は変わらず、仕事や日常生活の中で大きな困難を抱え続けていました。一度は申請を諦めていたものの、現在の職場で自分よりも重い障害のある同僚が障害年金を受給していることを知り、「自分も本来は対象になるのではないか」と感じ、改めて申請を決意されました。
こうして、再申請に向けて当事務所へご相談いただきました。
治療と生活の状況
ご相談者様は、通院による投薬治療を続けながら、障害者雇用枠での勤務を継続されていました。
一見、就労できているように見えるものの、実際の生活ではさまざまな困難を抱えていました。
家庭内では、火の消し忘れやゴミ出しの失念、調理や掃除が思うように進まないなど、日常生活の基本的な動作に支障がありました。
また、買い物や家事の段取りを立てることが難しく、生活の中で常に混乱や抜け漏れが生じていました。
職場においても、指示内容の理解が難しいことや、作業の進行が遅いこと、複数の作業を並行して行うことができないといった特性があり、同僚のフォローを受けながら何とか勤務を続けている状態でした。
このように、日常生活・就労の両面で支援が不可欠な状況であることが明らかになりました。
申請までの経緯
前回の申請が不支給となった原因を分析し、今回はまず「生活と就労の実態を的確に伝えること」を重視しました。
丁寧なヒアリングを通じて、ご本人が日常の中で直面している困難を一つずつ整理し、医師に具体的なエピソードとして共有しました。
その結果、診断書には「日常生活能力の制限」「就労上の支障」などが実情に即して記載されるようになり、病歴・就労状況等申立書にも生活上の不自由さや支援の必要性を具体的に反映させることができました。
これにより、以前の申請で不足していた生活実態の裏付けを十分に整えた形で申請を行いました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
この事例では、前回の不支給の原因となった「診断書や申立書に生活実態が反映されていなかった点」を見直し、
医師との情報共有と書類作成の工夫によって、日常生活の困難を具体的に伝えることができました。
障害年金の審査では、診断名だけでなく「実際にどのような支援が必要な生活をしているか」が重視されます。
一度不支給となった方でも、生活実態を正確に整理し直すことで、受給できる可能性は十分にあります。
本件はそのことを示す良い事例となりました。
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